負けたわけではない。勝ったのだ。
5点のリードを携えて埼スタ決戦を迎えた新潟は試合序盤、血気盛んな浦和をハードマークでいなしていく。しかし32分、カウンターから迎えたチャンスを山崎が決め切れなかったことで、ゲームは混沌とした展開へと移っていった。もし山崎がアウェイゴールを奪っていれば、まったく違った流れになったはずだ。
浦和を仕留める千載一遇のチャンスを逸した新潟は後半、阿部にマジカルな先制ゴールを決められ、相手の選手交代、システム変更にも戸惑い、守備がゆるんでいく。58分に李に2点目、70分に阿部にPKを決められてあっという間に3失点。5点の貯金が2点に縮まった。残り20分という時間を考えると怪しい雲行きとなったが、割り切った守備戦術で浦和の攻撃をブロックし、2戦合計での逃げ切りに成功。クラブ初の4強進出を決めた。2戦目は0-3での敗戦だったため、選手たちはピッチ上で喜びを爆発させることはなかったものの、クラブにとっては歴史的快挙。コルテースは「2戦目は0-3だったが、どちらが準決勝へ進むのかはみんな分かっている。この結果はクラブにとって新しい一歩。本当ならもっと喜んでいい」と誇らしげに話した。
準々決勝の難関は突破した。リーグ戦では年間勝ち点15位だが、カップ戦でタイトルを狙う力は十分にある。新潟の勇者たちは、橙色の誇りを胸に頂へと突き進む。(藺藤 心)