この日、埼スタに集まった観客は16,781人。その数字はACLの3試合に続いて今季4番目に少なく、休日の試合としては今季最低だった。新潟のサポーターがビジター自由席をほとんど埋め尽くしていたのに対し、北ゴール裏は驚くほど空席が目立つ。雨も無関係ではないだろうが、第1戦で0-5と完敗し、準決勝進出が絶望的だったことが大きく影響したのだろう。ただ、試合開始直前、その少なさとはまったく逆の驚きがあった。サポーターの「浦和レッズ」コールは満員のリーグ戦と何ら変わらない。むしろそれ以上ではないかと思えるほどの声量だった。
決してあきらめなかったサポーターに対して、100%とは言えずともチームは応えたのではないだろうか。前半は自らのシュートがわずか1本であわやのシーンを作られながらも、無失点で抑えた。「1失点がゲームを壊してしまう」(関根)リスクを避けることが狙いだったわけではない。ただ、「うまくいかなかった」(柏木)。しかし、後半の浦和は、前半はもとより第1戦(0●5)、さらにはJ1・2nd第9節・横浜FM戦(0●4)とは見違える戦いを展開する。先発落ちで「ショックだった」李は、ゴールに加え前線での起点となり、浦和加入後最高かと思えるパフォーマンスを見せた。前半は守備に従事していた阿部や、前半よりポジションを下げたはずの柏木が積極的に前線に絡む。チーム全体が果敢に“浦和らしく”攻撃を続け、3点を奪った。ゴールが入るたびに「もしかしたら」という空気が確実に埼スタに広がっていた。
結果として“奇跡”は起きなかった。しかし試合後、サポーターは選手たちを拍手で迎え、「浦和レッズ」コールで送った。もちろん、敗退は事実。おそらくその拍手やコールにはこの試合の健闘に対する労いだけではなく、先への後押しの意味があったのだろう。阿部は話した。「もう戻れないので、あとは進むしかない」。ナビスコカップはこれで幕を下ろしたが、キャプテンの言葉どおり、浦和の目標に向けた戦いはこれからも続く。(菊地 正典)