■浦和レッズ
アグレッシブに戦うことが求められるゲーム
「ムトー! ムトー!!」。雨が降ったり止んだり、空が明るくなったり暗くなったり、台風の影響で安定しない天気の中で行われた9日の練習で怒号が響きわたった。声の主はもちろん、ペトロヴィッチ監督だ。縦パスを待ち構えて奪われ、その後も切り替えずに立ち止まった武藤を一喝した。
武藤は自らのプレーについて「反省しないといけない」としたが、広島でトップ昇格1年目からペトロヴィッチ監督の指導を受けていた柏木は「全員に言う感じで武藤に言ったんだと思う」とその意図を汲んだ。事実、その後もゲームを止め、「(柏戦は)アグレッシブに戦うことが求められるゲームだ。どこか痛いと言うぐらいならやらなくていい」と激昂した。
ペトロヴィッチ監督が練習中に声を荒げること自体はそれほど珍しくないが、何度もというのは頻繁にあることではない。那須は「残り8試合がどれだけ大切かということを伝えたかったんだと思う」と受け止めた。ペトロヴィッチ監督は0-5で大敗した新潟とのナビスコカップ準々決勝第1戦のあと、「最近は選手の中に緩みがなかったか、あるいは天狗になっていなかったか。選手に問いかけないといけない状況にある」と話していた。もしかしたら大会自体は敗退しながらも、試合としては快勝した準々決勝第2戦(3○0)のあとだからこそ、その「問いかけ」をしたのかもしれない。
選手たちは大敗が2試合続いたあとの快勝で「走ったり、球際を戦うことで勝ってきたチーム」(武藤)であることを再確認した。それを0-5という状況からスタートしたナビスコカップ準々決勝の第2戦ではなく、完全に0−0からスタートするリーグ戦で見せることができてこそ、本来の姿を取り戻したと言えるはずだ。(菊地 正典)
■柏レイソル
浦和同様に、コンパクトさを保つことが攻守のカギ
柏は攻撃的なチームだが、オープンな展開では強みがあまり出ない。柏の組織的な攻守の前提は、選手同士が連係を出せる適度な距離感だ。浦和は1stステージで3-3と打ち合った相手だが、同じような試合運びは避けたい。
DF鈴木は「コンパクトにできればそんなにやられない」と自信を口にする。狭いゾーンに押し込んでボールの動きを窮屈にした上で、ミスを誘ってセカンドボールも支配する。そんな試合運びが2ndステージの9試合で6回の完封勝利を収めた理由だ。前後左右に細かくボールを動かす浦和が相手なら、コンパクトさはより問われるだろう。
直近の試合を見ると、柏は主将・大谷の不在もあり、後半にオーガナイズが崩れて受け身になる展開が多い。最終盤は仕方がないとしても、90分に近いところまで組織を維持することが、チームが抱えている目先の課題だ。ゾーンを後ろに合わせる、持たせて耐える我慢も、浦和が相手となれば必要になるだろう。
攻撃面に目を向けると2ndステージはカウンターが柏の有効なオプションになっている。新外国籍選手のエデルソンがチームにゴール前の精度をもたらし、持ち味の違うクリスティアーノや工藤との相乗効果を生んだ。浦和戦も3トップの能力と連係を生かしたカウンターが、勝利のカギになる。
相手が警戒して最終ラインを早く下げれば、今度は“手前”のスペースを使った柏の遅攻が生きる。それは工藤が「カウンターがあってこその遅攻」と説明する好循環だ。まさにこの速攻と遅攻の両輪こそ、柏が後半戦に浮上している一つの理由だ。(大島 和人)