大どんでん返しを披露した“ザ・万博劇場”
「勝利だけを信じて戦いたい」(長谷川監督)。敵地でアウェイゴールを奪えなかった以上、G大阪に与えられた選択肢は勝利のみ。そんなチームの気勢をくじくように、13分、丹羽が痛恨のPKを献上し、追う展開を強いられる。この時点で0-0による延長戦というプランが霧消した三冠王者だったが、直後の14分に「スカウティングどおり」(長谷川監督)という相手のオフサイドトラップのスキを突いてパトリックが試合を振り出しに戻す。
第1戦では宇佐美がマンマークに沈黙。攻撃でほぼ良さを出せなかったが、この日もチェ・チョルスンがトップ下の倉田を徹底マーク。ただ、G大阪はしたたかに相手の戦術を逆手に取った。「僕が相手を引き付け、味方が空いたスペースを使えばいい」(倉田)。圧巻の推進力とポストプレーでパトリックが相手の最終ラインを押し下げると、宇佐美に代わって先発した二川が再三の好パスでチャンスを作り出す。
攻守で全北現代を上回りながらも、ジリジリと時間だけが過ぎていく展開に、65分、長谷川監督はリンスと米倉を同時投入。[4-4-2]に布陣変更したことで、倉田が攻撃で存在感を見せ始めた。そして76分には相手DFに当たる幸運もあったが、倉田の起死回生弾で待望の逆転に成功する。追う展開になった全北現代も両CBに代えて、190cmのウルコ・ベラやFWを投入し、パワープレーに活路を見いだす。そして88分、G大阪を絶望に突き落としたのはそのベラの空中戦の強さだった。
2-2。残り時間はごくわずか。しかし、追い込まれたときほど力を発揮するのがいまのG大阪だ。遠藤の判断でキム・ジョンヤを前線に送り出すと、両軍の誰もがサイドからのパワープレーを予測する中、遠藤が絶妙の縦パスをキム・ジョンヤに配球。そのキム・ジョンヤの絶妙なパスを受けた米倉が後半ロスタイムに、劇的過ぎる勝ち越し点を蹴り込んだ。
日韓の王者が意地をぶつけ合った劇的なシーソーゲームの末に待っていたのは、“ザ・万博劇場”。長谷川ガンバが、アジアの大舞台でもその勝負強さを見せ付けた。(下薗 昌記)