いまのFC東京のサッカーは、良くも悪くも結果論でしか語ることができない。守備は堅く、この試合も守備に定評のある横浜FM相手に「戦術的な試合」(マッシモ・フィッカデンティ監督)を展開した。一方、攻撃は残念ながら掛ける人数も引き出しも少ない。普段の練習でも、攻撃的なチームが日々繰り返すようなパターンメニューや、崩しの局面に特化した練習はほとんど行われない。ピッチで毎試合表現されるのは、攻撃は水物のサッカー。偶発的とも言える数少ないチャンスやセットプレーからでしかゴールを挙げられないという現実が、そこにある。
選手はこの試合、やるべきことをやった。「予想どおり、決定機の少ない試合になった」と指揮官も想定していた試合展開。「お互い我慢して、少ないチャンスをどちらが決めるかの試合だった」と森重も振り返ったが、彼らは監督が狙ったとおりの戦い方を遂行した。
100%勝てる方法論などない。タフに守り、少ない好機を生かすスタイルが勝利を手繰り寄せることも往々にある。それが今季のFC東京。“勝てば官軍”。これまでの青赤の勝利にピッタリの表現だ。
だからこそ、しぶとく戦った末に競り負けてしまうと、空虚感が際立つ。それはいまの青赤のサッカーは結果がすべてであり、内容や攻撃面の伸びシロといった成長への切り口がないからである。この日「正直しんどい試合だった」と話した選手は何人もいた。確かにあと1勝で、クラブ歴代最多勝ち点に到達する。しかし、あまりに結果至上の戦い方は惜敗に直面した瞬間に、積み重ねた手ごたえが一気に崩れてしまう脆さも抱える。
試合後のブーイングについて、指揮官は「正直ファンは何を望んでいるか分からない。現在年間3位であり、一番良い選手(武藤嘉紀)を夏に放出せざるを得なかった中で戦っている」と嘆くしかなかった。いまのサッカーで勝ち点を稼いできたのは間違いない。ただ、要所で難敵をねじ伏せられない理由も、守備偏重で単調な攻め方しかできないサッカーに潜んでいる。(西川 結城)