PK失敗もゴール取り消しも乗り越えて、福岡が突き進む
アクシデントすらも、いまのチームにとっては「昇格」という二文字を確信させるためのエッセンスではないかと感じさせる。ドラマチックさという点では、福岡にとって今季最高のゲームだった。
前半、福岡にドラマチックさの気配はまったく漂っていなかった。16分に中原貴がPKを失敗し、32分には札幌にワンチャンスを決められた。「ほとんどやられているシーンはなかった」(井原監督)中での失点。内容は悪くなかったが、流れは悪かった。
しかしそのぶん、井原監督は思い切った策に出る。前に出るために2トップに変更し、意識付けを行う。その中で後半開始早々の47分に中原貴の同点ゴールが生まれたことで勢いは加速した。逆に札幌は「同じ戦い方に戻ってしまった」と四方田監督が嘆いたように、低調だった前半のリズムになってしまう。
つなごうとする札幌に対し、システムを変更した福岡は“2トップ+トップ下”で札幌の3バックをハメ込み、主導権を握った。一方、「自分たちのサッカーを貫くことがまだできない」(小野)札幌は守勢を強いられた。押し込む展開が続いた福岡は84分に平井がゴールネットを揺らすが、その3つ前のプレーで“戻りオフサイド”を取られ、ノーゴールに。それでも、試合終了直前、酒井がエリア内でロングスローを冷静に落とすと、飛び込んできた末吉が蹴り込み、劇的な形で勝ち点3をもぎ取った。
PKの失敗に加え、ゴールの取り消しもあったが結果的にはそれすらもロスタイムでの決勝点という劇的勝利の演出となった。1万3千人を超える大観衆の中での劇的な勝利、昇格に向けて不可欠な終盤での勢い、それを得るという意味では最高の形での勝利を福岡は手に入れた。(杉山 文宣)