■鹿島アントラーズ
カシマスタジアムでの大一番。過去を払しょくできるか
選手の顔つきやチームの雰囲気が明らかに違う1週間だった。もちろん前々節・G大阪戦(1●2)に敗れ、前節・甲府戦(1○0)で再び気を引き締めた影響もあるだろう。しかし、それ以上に今節へ懸ける意気込みが、シルバーウィークを利用して練習場に訪れた多くのサポーターからも、そのサポーターと一緒に集合写真を撮り「浦和戦も見に来て下さい」と訴えた監督や選手の姿からも、ヒシヒシと感じられた。日本での生活も永く両クラブのライバル関係をよく知るカイオは、「みんなで一緒に戦って絶対に勝つ」と話した。
この“みんなで”という表現が、いまの鹿島を象徴する。監督交代後の好調は、誰かがけん引したわけでなく、全員で作り上げたモノ。得点は年間リーグ4位(47得点)ながら誰もニケタ得点を挙げていない。これまで輩出した得点王がマルキーニョス(現・神戸)だけというクラブの歴史を考えれば、逆にそれが鹿島らしい。全員で攻め、全員で守ることができている。
それでも、浦和はリーグ戦で10戦未勝利(5分5敗)が続く相手だ。意気込み過ぎるあまりナーバスになることも心配される。しかし、選手たちの表情には自信が満ちている。これまで苦手としてきた[3-4-2-1]の変則布陣に対し、広島(2nd第6節・1○0)をほぼノーチャンスに抑えたことが確かな手ごたえとして残っている。また、対戦成績ではそれ以上に不利な数字だった等々力(2nd第9節・川崎F戦・3○1)での快勝も、ジンクスを破る自信を後押しする。
ただ、昨季から鹿島は、カシマスタジアムでの大一番でことごとく結果を残せなかった。昨季のJ1第27節・G大阪戦(2●3)、第30節・浦和戦(1△1)、最終節・鳥栖戦(0●1)。今季に入ってもACLグループステージ最終節・FCソウル戦(2●3)、そして前々節のG大阪戦と、ここ一番の試合をすべて落としてきた。その過去を払しょくし、常勝復活の道を歩むに値するチームなのか、真価が問われる一戦に全員で挑む。(田中 滋)
■浦和レッズ
ペトロヴィッチ体制では鹿島に5勝2分と無敗
前節の清水戦(4○1)後、那須は猛烈に悔しがっていた。ビックリマークをいくつ付ければいいか分からない調子で何度も「もー」と言いながら自分のふがいなさに憤慨していた。前節の槙野に続いて今節は那須が出場停止。浦和にとっては2試合連続で守備のキーマンを欠いて戦わなければならない。
那須が今節の出場停止をそこまで悔しがった理由は想像に容易いだろう。那須は「一番おいしい試合」と表現したが、ただでさえライバル関係にあり、毎回のように激しい展開で「めちゃくちゃ燃える」(森脇)この戦いが、2ndステージで勝ち点5差の2位と4位の上位対決となった。鹿島がチャンピオンシップ出場のために負けられないことと同様、浦和にとっては「次、負けてしまうと2ndステージ優勝はほぼ厳しくなってしまう」(宇賀神)。
もちろん、2ndステージだけではない。2ndステージで優勝すれば自動的に年間1位の座を得ることになるため目下の目標はそこになるが、前節の結果で首位に返り咲いた年間首位の座をこのままキープするためにも最低でも勝ち点1は欲しい。1stステージ優勝の大きな要因であり、ここ数試合で戻ってきた苦しい展開でも我慢する戦いをベースにしつつ、遮二無二勝利を目指すのではなく、「ゲームの中で時間帯や内容を考えながら」(宇賀神)戦う賢さも重要になるだろう。2ndステージ、調子を上げてきた鹿島が相手であれば、そうした展開も十分に予想できるからだ。
現体制になった12年以降、鹿島との対戦成績は5勝2分と無敗。カシマスタジアムでも2勝1分と苦手意識はない。もちろん過去のことは過去のことでしかなく、この試合の勝敗を分ける上で意味を持つモノではない。ただ、チームとして良いイメージを持って乗り込めることは間違いなくプラスだ。そしてこの試合を2ndステージ優勝、そして年間優勝に向けて良いイメージを持てる試合にしたい。(菊地 正典)