劣勢をはね退けた浦和の戦う気持ち
シュート数は鹿島が27本、浦和が10本。その差は歴然としているが、それは内容をそのまま表していると言ってもいい。何度も決定機を作り出したのは鹿島であり、浦和は得点シーン以外、チャンスらしいチャンスを作れなかった。だが、勝ち点3を手にしたのは浦和だった。
出場停止で守備の要・那須を欠いた浦和は、前節の清水戦(4○1)やこの試合に向けて準備してきたとおり、阿部をCBに下げる4バックで臨んだ。実際には[4-4-2]の鹿島に対してマンツーマンでつくシステムだったが、立ち上がり3分にカウンターからマークのズレを突かれ、早々に先制を許す。それでも浦和はその3分後に柏木の左サイドへの展開から梅崎、武藤、宇賀神が連動して崩し、宇賀神のクロスを高木が押し込む。浦和らしい鮮やかな攻撃で同点とした。
しかし、ペースを握り続けたのは鹿島だった。浦和は鹿島の圧力に対してなかなか思うようにビルドアップできず、後半に入ると梅崎、高木に代えて青木、ズラタンを入れて通常の[3-4-2-1]に戻し、ビルドアップでは槙野が高い位置を取らずに残り、「相手が前2枚で追ってきているときもあるので」(阿部)降りてくるボランチを合わせて3枚でビルドアップを担った。それによってビルドアップはスムーズになったものの、鹿島ペースは変わらず。それでも72分、興梠が相手のミスを見逃さずにゴールを奪うと、最後まで失点を許さなかった。
ゴールを決めながらも前半限りでベンチに下がった高木は、後半の戦いを見てこう感じたという。「出ている人たちの戦う姿勢を見てすごく刺激を受けた」。見ているチームメートにもそう感じさせたものこそが、浦和の最大の勝因だろう。苦しい戦いだった。しかし、この日の浦和は紛れもなく、戦う集団だった。(菊地 正典)