専守防衛の賭けに敗れた栃木。長崎に守り切られる
「戦い方を変えるしかない」。栃木の倉田監督がそう断言したのは試合2日前。フタを開けてみればFWを一枚削ってCBを一枚増やし、両サイドの荒掘とパク・ヒョンジンが最終ラインに入った5バック。失点の止まらない栃木が「まず失点をゼロにする」(倉田監督)ために準備した専守防衛のスタイルで、浮上のきっかけをつかみたいチームには賭けとも言える策だった。
一方、長崎にとっては「予想もしていなかった」(高木監督)相手の出方だったが、結果的にこの策は長崎に有利に働いたと言える。栃木は中盤が横並びの[5-4-1]。1トップが単独で長崎の最終ラインを追っても、長崎の3バックとボランチの碓井が中心となっていなし、テンポ良く縦横にボールを動かした。次第に栃木の中盤が最終ラインに吸収されるほど下がると、長崎がセカンドボールを拾って二次攻撃をしかける流れになった。「ウチのボランチへのプレッシャーが甘く、両サイドへの展開が練習どおりできた。予想していない状況下で、選手が臨機応変にプレーできたのは財産になる」(高木監督)。長崎が狙いどおりの展開に持ち込むと、62分、前田のCKから、イ・ヨンジェが栃木の守備陣と競り合いながらも体の強さで勝ってゴールをねじ込み、先制に成功。終了間際には栃木の猛攻に遭ったが、前節(金沢戦・1△1)に終了間際の失点で悔しい引き分けを味わった経験が生きた。「同じことを繰り返さないように、という気持ちはみんな持っていた」(大久保)と集中力を高めた気迫の守備で応戦。ロスタイムに与えた痛恨のPKもGK大久保がビッグセーブでしのぎ、長崎がJ1昇格プレーオフ圏に浮上する勝ち点3を手にした。(鈴木 康浩)