磐田の猛然たるプレス。機能不全に陥った北九州
左サイドの川島からのロングフィードを小松が頭で優しく落とし、走り込んだ原が押し込む。89分のこのゴールで1点差に詰め寄った北九州のサポーターは大いに沸いたが、ゲーム全体をとおして言えば、敗戦は致し方ない内容だった。主将である前田の「スコアは2-3という1点差だが、とても苦しい展開だった」という言葉もそれを証明している。
一方の磐田は、守備の修正能力を課題として挙げながらも、「ジェイ不在の2試合で計6得点を取れたこと、アダイウトンが14試合ぶりにゴールできたことは評価していい」と話す名波監督の柔和な表情が、この日の出来の良さを物語っていた。
磐田が主導権を握った要因の一つがリスペクトから生まれる警戒心だろう。名波監督は「北九州のスタイル、ブレないやり方はリスペクトできる」と語ったが、そのスタイルとは“細かいパスワークで攻撃の糸口を探り、それをマイペースにするための手段とする”ことを指していた。つまりはそれが北九州のストロングポイントであり、そこを抑えれば試合の流れは自分たちに来ると名波監督は考えたのだろう。森島、アダイウトン、小林、太田の攻撃陣が 見せる猛然たるプレスは見事に北九州のビルドアップの機能不全を引き起こし、その高い連動性と各選手が取る的確なポジショニングは、北九州の選手を混乱と恐怖に導くに十分なプレスの基となった。
一方、自分たちのペースをつかむ手段を奪われた北九州は余裕や冷静さも失った。柱谷監督が「個の力にやられた」と振り返ったアダイウトンの2ゴールも、いつもの連動性ある守備を実践するだけの余裕があれば、防げた失点だったのかもしれない。(島田 徹)