集中切らさず大一番を制した松本。いざ下位連戦へ
ホームゴール裏で『One Soul』のコレオグラフィーが行われ、対するアウェイゴール裏には『清水は死んでない』のメッセージが掲げられる。それだけでも、この試合の価値が理解できよう。年間順位で降格圏に沈む両チームによる大一番。会場のアルウィンには、試合前から張りつめた雰囲気が醸成されていた。「試合展開としてはガチガチになる」と田坂監督が予測したように立ち上がりから浮いたボールが多く、落下地点では音が聞こえそうなほどの競り合いが勃発。選手たちも自然とヒートアップし、正面から体をぶつけ合う場面も多々見られた。
緊張感漂う試合でモノを言うのは先制点。36分に松本が清水のペナルティーエリア手前でFKを得ると、キッカーの岩上がこれを直接決めて試合を動かす。これで尻に火が点いた清水は、個人能力の高い攻撃陣がその実力を存分に披露。大前とピーター・ウタカがサイドを突破し、FWのチョン・テセへとクロスを供給。1点ビハインドのまま迎えた後半も、さらにギアをトップに上げて攻勢をしかける。しかし、「試合前から名の知れた強力な攻撃陣がいるということは分かっていたし、クロスの対応もうまくできたと思う」と岩沼が振り返るように、松本守備陣が冷静に対処。清水の攻撃は怖さはあったものの結果的にパワープレーに終始してしまい、チョン・テセも「ゴールに向かう姿勢はあったと思うが、そこに効率性はなかった」と肩を落とす単調な攻め。一方の松本はカウンターまたはリスタートから好機を創造。こちらもフィニッシュの精度を欠いて2点目を取れないという課題は残したが、この日は最後の最後まで集中を切らすことなく、結局1-0のまま試合終了。松本が無失点勝利を飾った。
気になる他会場では、新潟と鳥栖がそれぞれ引き分け、両チームとの勝ち点差が2ポイント縮んだ。次節にはアウェイで新潟、その翌週にはホームで鳥栖と対戦する。松本には“奇跡”を手繰り寄せる余地が与えられている。まだ、何も終わってはいない。(多岐 太宿)