勝者には勢いが与えられ、敗者には落胆が与えられる。劇的な結末とは、劇的ならではの喜びと失意があって、だからこそ次の試合にも影響しやすいモノだ。ロスタイムを含めたラスト11分で3点が生まれたこの試合。土壇場で貴重な勝ち点1を手にしかけた岐阜にとってはあまりにショックな敗戦だったが、J2残留に向けて注視すべきは、とにかく下を向かないことだ。
試合は守備に軸足を置く両チームの課題が、そのまま出たような展開。縦に急ぎ過ぎたり、局面での凡ミスが続いたりと淡泊な攻撃が続き、ともに厚みのある決定打は数えるほどだった。それでもJ2残留を争う岐阜にとって“0-0で進める戦い”は狙いのうち。だからこそ自陣深くのミスから招いた84分のまるで安い失点が痛恨だったが、リスクを負って前に出た闘志が実を結ぶ。92分、クロスのこぼれ球に詰めていたジウシーニョが強烈な移籍後初得点を突き刺すと、長良川は歓喜に包まれた。しかし、「点を取ったあとのメンタルの油断とあきらめないという、二つのことを学んだ」(小林監督)のは徳島であり、岐阜だろう。あきらめずに相手のスキを突いた岐阜は、あきらめなかった徳島にスキを与えてしまった。
94分、それもラストプレーだった。FKのリスタートを受けた木村がフリーでクロスを上げると、合わせたのはフリーのキム・ジョンミン。華麗な一撃が決まると、両者のコントラストは鮮明に分かれた。(村本 裕太)