既視感を覚える光景だった。東京Vの選手たちが、相手の守備ブロックの外側でボールを回しながら、手詰まりになってクロスを送って、はね返される。あるいは、その途中にパスミスを奪われカウンターを受ける。多くの時間でボールを保持しながら、効果的な攻撃の形は作れず、逆に札幌に少ないチャンスを決められて敗戦。5連勝のあとの成績は1勝1分5敗で、7試合中6試合が無得点である。5敗した相手のうち、大宮以外は似たような東京V対策を敷いてきた。端的に言えば、“引いて蹴る”である。東京Vは、素早い攻守の切り替えから激しいプレスを掛け、ショートカウンターで多くの得点を挙げていたが、それを回避するには蹴ればいい。前からプレスを掛ければ、かわされてピンチを招くため、素早くラインを下げてスペースを消す。前線には長身のターゲットマンを配置し、ロングボールから手数をかけずにフィニッシュまで持ち込む。東京Vが先制できれば相手も前に出て来ざるを得ないが、先に失点すればそうした形はより顕著になる。
今節も同様の形は繰り返された。ミドルシュートの数を増やしたり、サイドからグラウンダーの速いクロスを入れたりするなど、これまでよりも工夫の跡は見せた。だが、おおよその展開には変化がない。東京Vは課題を克服し、再浮上できるのか。残りは7試合“しか”残されていない。(石原 遼一)