一人少ない新潟を救ったのはラファエル・シルバ
シナリオのないドラマだった。
代表組不在に加えて先発9人を入れ替えたG大阪に対して、新潟は指宿、山崎を前線に配置するベスト布陣で対峙。ディフェンスラインを高い位置に設定するコンパクトな戦いでG大阪の自由を奪い、ショートカウンターを繰り出す。対するG大阪は倉田、赤嶺の2トップを起点に縦を狙っていく。
スコアが動いたのは33分だった。藤春の左クロスを大森がヘッドで合わせてゴールネットを揺らす。ホームで先手を取られた新潟だったが、黙ってはいなかった。36分、舞行龍の縦パスを右サイドで受けた山本が二川を振り切って右足を一閃。ファーサイドへと突き刺し、すぐさま同点に追い付いてみせる。「ゴールしか見えてなかったので、思い切って打った」(山本)。時間の経過とともに熱気を帯びていったゲームは、1-1で前半を折り返す。
後半は次第に生まれ始めたスペースを両チームが活用し、オープンな攻撃を展開。2点目を求めてゴールへと向かっていく。しかし66分、レオ・シルバが赤嶺を背後から蹴り一発レッドで退場となったことでゲームは一変。[4-4-1]の守備ブロックを組む新潟に対して、G大阪が数的優位を生かして猛攻をしかけていく。だが、決定打を放てないままゲームは最終盤へと差し掛かる。
ドローの雰囲気が漂い始めた90分にクライマックスは待っていた。前野からのスルーパスを受けたラファエル・シルバが快足を飛ばしてペナルティーエリアへ切り込むと、右足で冷静に流し込んで劇的な決勝ゴール。「一人少ない状況になったが10人が同じ絵を描いてプレーしていた」(柳下監督)という新潟が逆境をはね退けて初戦を制した。一方のG大阪は数的優位を生かせずダメージの残る敗戦となった。
決勝進出を懸けた熱きドラマは、波乱の様相を漂わせながら第2ラウンドへと突入していく。(藺藤 心)