良かった面も悪かった面も、清濁併せ呑むように本田圭佑は試合をこう語った。「まあ、こんなもんちゃ、こんなもんなんですよ」
この試合、ハリルジャパン発足後初のPKゴールを決めて見せた。88分には清武弘嗣のスルーパスに抜け出すと、後方から並走する宇佐美貴史にトリッキーなパス。冷静な判断で、アシストも記録した。所属するミランでは向かい風が吹く中、代表ではやはり頼りになる存在だ。
前半、日本の陣形は間延びし、パスのつながりも悪くセカンドボールも奪い切れなかった。「後半は相手がバテたという分析もできるけど、こっちのやり方も明らかに変えた」。その戦い方の変化について、さらに本田は語る。「両サイドの原口と僕が中に絞ることで、よりパスを当てる的を増やした。(山口)蛍、僕、(香川)真司みたいな前半になかった連係から、効果的に攻めていく場面ができた」。
コメントどおりのプレーが、後半開始早々の48分にあった。CBの吉田麻也が山口にパス、山口はすぐに前方の本田に縦パスを入れると、本田はすぐ隣でフォローに入った香川に渡す。前を向く香川がドリブルから左サイドに大きく展開していった。堅く守っていたシリアの選手たちもまったくついて行けない、流れるような攻めだった。「それを前半やっていても、相手も元気な状態で逆に奪われる場面が増えたかもしれない。でもどうせ奪われるなら、幅を広くして孤立してやられるよりも、日本らしい攻撃をして距離をコンパクトにしていることで、すぐにプレッシャーにも行ける形を採ったほうが良かった」
その後も本田は、中央に侵入してプレーする時間を増やした。複数選手が連なる攻撃陣のコンビネーション。常に、その中心にいた。「中に入っていないとできないプレーは、いくつか見せられたと思う。外に張っていても、(スピードのない)僕のようなタイプはあまり何も見せられないまま終わってしまうことがだいたい。原口がドリブルが得意なんやったら、逆サイドは外に張るとか。チームとして攻撃パターンが両極端になるんじゃなくて、前半のうちから変えられるようになればもっと強くなる」
とはいえ、そんなに柔軟かつ的確に試合中に修正を施すことができれば、それは完璧この上ないこと。だからこそ、本田はこう語ったのだった。「(サッカーとは)まあ、こんなもんちゃ、こんなもんなんですよ」
ミランでの衝撃発言で注目を集める、その最中に戦ったシリア戦。本田は目の前のチームを、誰よりも冷静に、建設的に語っていた。 (西川 結城)