10分、大分のダニエルがクリアしたボールが裏へ抜け出した荒田につながり、GKと1対1に。しかしこれは竹重が仁王立ちした好セーブではじき出す。
残留を争う21位・大分と22位・栃木の直接対決。序盤は重苦しく堅い展開になると思われたが、開始早々のこのシーンが呼び水となったかのように、ゲームが動き出す。14分、栃木がカウンターを発動し、山形のクロスに杉本がニアで合わせて7試合ぶりの先制に成功。しかし、大分は動じない。「先制されてから落ち着いた。自分たちのサッカーができたと思う」(伊佐)。大分は兵働やダニエルらを中心に、丁寧に左右にボールを散らしつつ、加入後初先発となった荒田の裏抜けの動きにシンプルに合わせるなど、リズム良くボールを動かす。栃木からすれば守備の的が絞れない展開が続いた。「大分はリスクを冒さないながら兵働選手らがずっと背後へのボールを狙っていて、崩される感じはなくても怖さがあった」(小野寺)。主導権を握った大分は28分、兵働の質の高いCKのボールに伊佐が頭で合わせて同点に追い付いた。
ボールを支配する大分に対して栃木が時折カウンターからジャブを放つという構図は後半も変わらず。ゲームが異なる顔を見せたのは70分過ぎだった。負けが許されない緊張感と勝ちへの執念という、相反する二つの精神が引き起こすのか、ともに前と後ろが分断され、スピーディーな展開となった終盤に足を痙攣させる選手たちが続出。それでも追加点を狙おうと前へ走り出す魂と魂のぶつかり合い。壮絶な打ち合い。まさに死闘となる中で双方にビッグチャンスも訪れた。が、スコアは動かず。栃木の菅が「相手に勝ち点3を与えなかったことを前向きに捉えたい」と口にすれば、大分の伊佐が「自分たちの力は出し切れたが、悔しい勝ち点1」と振り返る痛み分け。今節の下位は軒並み勝ち点1どまりで両者が置かれた状況は変わらず、厳しい戦いは次節以降も続く。(鈴木 康浩)