3点差をつけられ、敗戦が決定的だった終盤、G大阪のゴール裏から聞こえたチャントがむなしく響いた。「魅せろゴール、貫けよ大阪スタイル」
0-3というスコア以上に一方的な展開だったことは5本と24本という両チームのシュート数が物語る。ACL準決勝で広州恒大に敗戦した直後でさえ「負けた気がしない」と強がった宇佐美だが、「何もさせてもらえなかった。決定機もまったくなかった」と一方的だった90分間を振り返った。「鹿島の『勝ちたい、タイトルを獲りたい』という思いがわれわれを凌駕した」(長谷川監督)。確かに鹿島の気迫は球際の強さや出足の良さに表れていたが、戦術面でもG大阪を上回っていた。
パトリックが加わって以降のG大阪に3連敗を喫し、計7失点していたかつての三冠王者にとって、“戦術パトリック”を封じるのはマストのミッションだった。立ち上がり、前線から連動したプレスを掛けてくる鹿島の出足を打開すべく、パトリックへの長いボールを選択したG大阪だが、ファン・ソッコと昌子が局地戦で徹底的につぶしにかかる。「前線で起点を作れなかった」と長谷川監督は低調な攻撃の要因を振り返ったが、パトリックを封じられた際にこのチームの打開策となる選択肢は宇佐美頼み。しかし、左サイドにボールが渡ると常に二人のマーカーが和製エースに張り付き、フィニッシャーとしてのパトリックに対するラストパスを供給させなかった。
広州恒大とのACL準決勝第1戦(1●2)を見るかのような展開だったが、手詰まり感でいっぱいのピッチに後半投入されたのは大森やリンス。秀逸なパフォーマンスだった遠藤康を代えて、カイオを投入した鹿島と比べれば、切り札の質においてもG大阪は差を付けられていた。
「僕らには、つなげない展開でパトリックに蹴るという選択肢がある」とかつて今野は胸を張ったが、アジアの列強やこの日の鹿島のように、“戦術パトリック”が通じない相手に対しての打開策が不可欠なのはもはや明らかだった。(下薗 昌記)