2-2で迎えた86分。同時に切られたカードは札幌がナザリト、千葉がアン・ビョンジュン。ともに本格派のストライカーであることを考えても、いかに両者が勝ち点3を渇望していたかが分かる。勝ち点1なんて欲しくない。手にしたいのは勝ち点3だけ。スタジアムの緊張感が最高潮に達した瞬間だ。
そして、その緊張感を上回る歓喜が90+6分に訪れた。札幌の右CK。GKク・ソンユンまでもが千葉ゴール前まで攻め上がってのラストプレー。福森のCKは一度クリアされながらも、ボールは再び福森へと渡り、高精度なキックが途中出場の上原の頭にピタリ。「千葉の選手の意識が(ク・)ソンユンに向いていたので、チャンスがあると思っていた」という背番号14のヘッドが、豪快かつ劇的にゴールネットを揺らした。
勝ち点3を逃せば、J1昇格プレーオフ進出が消滅する可能性もあった。そんな崖っぷちで見事につかみ取った歓喜。状況が劇的に良化したわけではないが、可能性はしっかりと残してみせた。「選手たちがプライドを示してくれた」と四方田監督もイレブンを称えた。監督交代もあり、ふがいないとも言える戦いを演じていた今季。そうした戦績を一気に払しょくすべく、札幌が崖っぷちから奇跡の浮上を目指す。(斉藤 宏則)