残留を決めて“欲”が出てしまった甲府
名古屋が攻撃から守備へ移行するときのスキを狙いにしていた甲府。12分のバレーの先制点は狙いの流れから奪えた。しかし、1st第12節から佐久間監督がGM兼任で指揮を執り始めてからの8つの勝利を振り返ってみると1-0で勝った4試合はすべて60分台のゴール。残る4勝のうち、早い時間に先制して勝ったのは清水と山形だけで、前半を無失点に抑えることがゴール以上に重要なカギだった。
しかし、J1残留が決まりいつもより前掛かりに“行きたい”、“行けるはず”の甲府は守備にスキを作ってしまい31分にノーマークでノヴァコヴィッチに同点ゴールを許す。1-1の時点なら修正は効いたはずだったが、依然として名古屋の緩さを突けると判断して攻撃的に追加点を狙いに行った甲府は、その代償として“ボールを失ったら[5-4]のブロックを作る”という部分が疎かになり、逆に緩さを突かれてしまった。
35分の永井の逆転ゴールは左サイドの高い位置で左ウイングバックの阿部翔がキープできなかったボールが起点となり、中途半端な守備からガラガラの逆サイドに振られて作られたピンチから生まれた。クロスがDFに当たって軌道が変わり、GK河田が飛び出したタイミングが外れる不運はあったが、前掛かりに戦った甲府の油断、スキといったモノを名古屋は見逃さなかった。
故障“車”が多く、高級外車と期待の国産車を何台もガレージに停めたまま指揮を執らざるを得なかった名古屋の西野監督だが、送り出した選手は予算規模が約3分の1弱の甲府から見れば充分に脅威だった。後半も2失点した甲府は、下田のバースデーゴールで1点を返すも貧打線に爆発力はなかった。(松尾 潤)