21分、柏に速攻を浴びた場面でのことだった。
その直前のマイボールの段階で森重が中盤の位置まで上がっていたため、敵に奪われた瞬間、ディフェンスラインにはディフェンスリーダーが不在の状況だった。すかさず全速力でその穴を埋めようとしたのは高橋。同時に自陣方向に全力で戻る森重も、高橋に「自分のカバーに入ってくれ」という声とジェスチャーを送った。結局、柏の攻撃をFC東京はストップ。森重は柔軟に動いてくれた同い年の仲間に親指を立て、高橋もそれに応えながら自分のポジションに戻っていった。
高橋はこの試合を前に「全員がいつもよりもさらに走る、さらに要求し合うこと」がチームの再浮上に不可欠と話した。それはMFにとっては後方のDFを助け、前線の攻撃に貢献すること。冒頭のシーンはその一例だが、ほかにもこの試合で中盤勢が見せた躍動ぶりは間違いなくチームの原動力になった。
放ったシュートはチーム最多の5本。一つでも決めていれば主役になれたが、それでも橋本が見せたプレーはチームに勢いを与えた。基本は敵の球際に狙いを定めた守りの姿勢だが、機を見て前に出て攻撃参加を繰り返した。「コンパクトな陣形でボールを奪って、引くときも割り切ってしっかりブロックを作った。相手の状況を見ながらも宏介くん(太田)や慶悟くん(東)がキープしたときは思い切って前に出た」(橋本)。
そんな橋本の働きを下支えしたのが、米本と高橋。後輩MFが上がった背後でバランスを取りながら、ボールサイドでは気持ちのこもったプレッシングで相手を塞いでいった。「(橋本)拳人は勢いもあるし、前に出て行くのもうまい。後ろのカバーは任せろという気持ちだった」と、米本も中盤全員でカバーし合えた結果であることを強調した。
システムを柔軟に変えながら、前に後ろに存在感を発揮した中盤。紛れもなく勝利の立役者たちである。(西川 結城)