うれしさと悔しさが同居する複雑な表情だった。鈴木満常務取締役強化部長は「もう少しあれば」と、今季の残り試合があと一つになるかもしれない可能性を嘆きながら、「ナビスコを勝ったことで得られたモノがすごくある。だからもう、いまのチームはナビスコの前と比べるとワンランク上に来ている」と胸を張った。
タイトル獲得で得た勝者のメンタリティーは想像以上の効果だった。自信を持って試合に臨む選手たち。試合前の作戦が合わなければ前半のうちにピッチで話し合い、修正してしまう姿からは、自分たちの得点にあたふたしていた、かつての姿を想像するのも難しかった。
だからこそ、このチームが来季のACLに出られないのは残念だ。チャンピオンシップ出場については、数字上の可能性が残されており、石井監督も「可能性がゼロではない。得点を取れればどんどん取りに行きたい」とあきらめてはいない。
ただ、広島との得失点差は『12』。次節で勝ち点3差を埋めたとしても、09年から離れているリーグタイトルの奪還は、蜘蛛の糸でつながっている程度だろう。しかし、今季獲得したタイトルが一つで終わったとしても、ナビスコカップ決勝のG大阪戦(3○0)と、この横浜FMで見せた試合内容は、その他のチームにも大きなインパクトを与えたはずだ。もし、鹿島がチャンピオンシップに出られなければ、喜ぶライバルも多いことだろう。
今季のタイトルは一つしか得られないかもしれない。しかし、手にした勝者のメンタリティーをより強固に、より確かなものにする戦いは、最低でもあと一つ残っている。「去年も一昨年も、優勝の可能性を残していたのに、最後、勝ち切れないで終わっている。そういうところが強さにつながらなかった」
鈴木常務は、勝って終わる大事さを強調した。(田中 滋)