■FC町田ゼルビア
リーグ戦で出番のない選手たちが見せている奮闘
町田はカテゴリーが上のクラブを二つ倒して、4回戦まで勝ち上がってきた。
この浦和戦は、2回戦・名古屋戦(1○0)、3回戦・福岡戦(2○0)に続く、前後をリーグ戦に挟まれた週中開催。明治安田J2昇格を目指している町田にとって、天皇杯の掛け持ちはコンディション的に難しい。
しかし、町田はリーグ戦で出番のない選手たちが奮闘を見せている。主力の温存という条件は対戦相手も同じだったが、前記の2戦はいずれも互角以上の内容で勝ち切った。リーグ戦も天皇杯本大会が始まってからの9試合を6勝2分け1敗で乗り切り、首位・山口との勝ち点差を『9』から『2』に縮めている。振り返ると選手の消耗という悪影響以上に全体の底上げ、活性化という好影響が大きかった。
究極のビッグクラブである浦和を倒せば、インパクトは唯一無二。その意味はクラブ史上初のベスト8入りということにとどまらず、当時、北信越リーグだった松本が09年の天皇杯2回戦で浦和を倒したような、日本サッカーの新たな歴史の一幕となるだろう。
町田は8日のJ3第37節・鳥取戦(1△1)で土岐田、増田が警告を2回受けて退場処分となった。リーグ戦を考えれば痛手だが、彼らが出場停止となるのは15日のJ3第38節・秋田戦。皮肉なことだが、彼らは天皇杯に出場しやすくなっている。中村は浦和の育成組織、トップでプレーしていた選手。古巣との戦いに、期するものがあるだろう。
ポジティブなプレッシャーこそあれ、失うものはない。町田らしい前に踏み込む勇敢な守備で浦和を封じ、焦りを誘うことができれば、日本中のサッカーファンを驚かせる戦いが見せられるはずだ。(大島 和人)
■浦和レッズ
浦和は実力の違いを見せ付けて、勝ち抜くのみ
浦和にとって、この天皇杯4回戦は今季の天皇杯初戦となる。リーグ戦での年間順位1位の争い、そして年間チャンピオンを目指す戦いから離れるが、天皇杯はトーナメントの一発勝負。文字どおり、“負ければ即終了”の油断が許されない試合だ。
9日のトレーニングは、リーグ戦2日後ということもあり、前節・川崎F戦(1△1)に先発した選手はランニングのみで終了。川崎F戦から中2日とはいえ、次のリーグ戦最終節・神戸戦まで中10日ということを考えれば、それほどメンバーを落とすことはないだろう。チーム状況としては、西川、槙野、柏木、ズラタンを代表招集で欠く。那須、森脇が負傷離脱中で、この二人の欠場はほぼ確定。さらには、関根もひざに問題を抱えており先週は別調整で、川崎F戦も途中交代した。ここで無理をさせない可能性はある。
浦和は、14年は群馬、13年は山形と過去2年、下のカテゴリーの相手に敗れている。3年連続で同じ過ちは繰り返したくない。過去2年は連戦ということでメンバーを大幅に代えて臨んだことが少なからず影響したが、「ちゃんとウチのサッカーをやれば大丈夫」と永田は話す。永田は加えて「カテゴリーが下とかは意識しないほうがいい」。「公式戦なので、どことやるにしても絶対にラクではない」と続けた。プレー同様メンタルも普段どおりに臨むことが重要で、むしろ普段どおりのメンタルが普段どおりのプレーを生むと言えるかもしれない。
別の大会といっても、下手な試合をしてしまえばリーグ戦に影響することも考えられる。メンバーが代われど、実力の違いを見せ付けて天皇杯を勝ち進むとともに、リーグ戦に向けてはずみを付けたい。(菊地 正典)