2018年ロシアワールドカップアジア2次予選も後半戦に突入。その一戦目が12日のアウェー・シンガポール戦だ。シンガポールと言えば、6月の埼玉スタジアムでのホームゲームでシュート23本を放ちながら、まさかのスコアレスドローに終わった因縁の相手。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督も「リベンジ」を強調していたが、これ以上の取りこぼしは許されない。今回はスッキリ大勝して、来年から始まる最終予選へ一気に突き進みたいものだ。
この日のシンガポールはここ数日で最も暑い1日となった。が、夕方には気温もやや低下し、キックオフ時は28度。湿度も65%と、選手たちにはだいぶプレーしやすい環境になったのではないだろうか。
それでも指揮官は疲労蓄積の主力を温存。大胆なメンバー構成に打って出た。先発リストに名を連ねたのは、GK西川周作(浦和)、DF(右から)酒井宏樹(ハノーファー)、吉田麻也(サウサンプトン)、森重真人(FC東京)、長友佑都(インテル)、ボランチ・長谷部誠(フランクフルト)、柏木陽介(浦和)、右FW本田圭佑(ミラン)、左FW武藤嘉紀(マインツ)、トップ下・清武弘嗣(ハノーファー)、1トップ・金崎夢生(鹿島)。疲労の濃い香川真司(ドルトムント)と岡崎慎司(レスター)は予想通り、ベンチスタートとなった。一方のシンガポールは4−1−4−1とも4−3−3とも言える超守備的布陣。前回の殊勲選手・GKイズワンは今回もスタメンだ。
日本はキックオフ直後から相手陣内に攻め込み、ゴールへの強い意欲を前面に押し出した。柏木、清武、金崎のタテのラインが想像以上にうまく連動し、そこに武藤や本田、長谷部も効果的に絡んで相手のスペースを作り出すなど、この日の日本は前回とは比べものにならないほど攻撃のインテンシティーの高さが感じられた。
その効果的な攻めが結実したのが前半20分の先制点の場面だった。森重のロングフィードに右サイドで反応した本田がDFをかわして左足でクロスを入れた。これに武藤が反応し、力強いヘッドで中央へ折り返した。ここで待ち構えていたのが金崎。彼の胸トラップからの左足シュートが豪快にゴールネットを揺らし、日本はついに宿敵・シンガポールから得点を取ることに成功する。5年ぶりの国際Aマッチで待望の代表初ゴールを挙げた金崎はベンチに一目散に駆け寄り、全員と抱き合って喜びを分かち合った。まさに彼がチームの新たな切り札になった瞬間だった。
その後も日本は一気に押し込み、次々と決定機を作る。22分には柏木のスルーパスに反応した金崎がフリーでヘッドを放ち、24分には本田の左足FKがGKを直撃。26分には清武と金崎の中央でのパス交換から酒井宏樹にチャンスボールが出て、絶妙のクロスがゴール前の本田に渡るビッグチャンスも生まれた。そしてこの直後の26分、日本は金崎の突破からの折り返しを武藤がクサビで落とし、走りこんできた本田が豪快な左足シュートを決め、早い時間帯に追加点をゲット。シンガポールに大きなダメージを与えた。
この後も日本はいいリズムで試合を運び、前半を2−0で折り返す。ハリルホジッチ監督はスタメンに抜擢した金崎、武藤、清武、柏木がチームを確実に活性化し、この前半はこれまでの2次予選で最も機動力と推進力の感じられる内容だった。
迎えた後半。日本はメンバーを変えずにそのままの流れでさらに追加点を狙った。シンガポールは攻撃のテコ入れを図るため、1トップに入っていたファズルル(10番)とサヒル(7番)を交代。前線にスピードを加えて状況を変えようと試みた。
日本は後半立ち上がり早々の3分、武藤の折り返しに本田が豪快なヘッドをお見舞いするが、惜しくもバーを越えて行ってしまう。そこからもボールを保持し、相手のスキを伺ったが、前半ハイペースだった影響からか徐々にペースダウン。停滞感が少なからず漂うようになる。ハリルホジッチ監督もバランスを崩したくないのか、戦況をじっと見守っていたが、21分には相手のFKから決定的なヘッドを浴びるなど、動きが明らかに重くなったしまった。
そこで指揮官は宇佐美貴史(G大阪)を呼び、25分が過ぎたところで武藤と交代。その宇佐美がピッチに立つや否や、左サイドを豪快にドリブル突破してチャンスを作るが、惜しくもゴールにはつながらない。直後にはシンガポールの右クロスからハフィズ(16番)にゴール前でフリーのヘッドを放たれるピンチを招いてしまう。こういう場面を最終予選で作られたら致命傷になりかねない。守備面はまだまだの改善の余地がありそうだ。
日本は後半30分が経過したところで清武と香川が交代。さらに37分には本田と原口元気(ヘルタ)を入れ替え、前線のテコ入れを図るが、さすがに消耗度が高いのが、一度ペースダウンしたリズムが上がらない。相手も動きが落ちて間延びしているにもかかわらず、なかなか追加点が取れないのはやはり課題。フィニッシュの精度の部分はまだまだ向上させなければならないだろう。
それでも残り5分を切ったところで、彼らはようやく3点目を手に入れる。柏木の右CKから吉田がヘッド。いったんはDFに弾かれたが、こぼれ球が香川から宇佐美へとつながり、宇佐美がシュート。それが吉田に当たってネットを揺らす。本当に試合を完全に決めるセットプレーからの1点が飛び出し、指揮官も安堵感に包まれたのではないだろうか。
試合は結局、3−0で終了。日本は勝ち点3を積み上げ、5試合終了時点で13に伸ばし、E組トップを死守した。このままカンボジアを下して2015年を締めくくれば、2016年にはもう少し明るい未来が開けるはずだ。プノンペンでは今回の課題をさらに改善し、より迫力のある勝利をもぎ取ってほしいものだ。