試練を乗り越えた大宮。J2の頂きに立つ
先に行われた磐田vs横浜FCがスコアレスドローに終わったことで、大宮は勝てばJ2優勝・J1昇格が決まるという非常にシンプルな状況に置かれた。
大多数の選手たちが磐田の結果を知った上で試合に入った中で、立ち上がりの形は最高に近かった。「選手たちはこの一戦に懸ける思いを出してくれた。前半のスタートから得点を取りに行くアグレッシブさが非常に高かった」(渋谷監督)。ボールを回しながらもタイミングを見て相手の裏を取り、ボールを失っても瞬時の切り替えで奪い返す。大宮の目指してきた本来の姿でいくつもの決定機を生んだ。
しかし、その流れでも前半はスコアレス。後半も継続が求められたが、49分に左サイドを崩されて失点すると、54分には左CKから若狭にヘディングを流し込まれて2失点目。あっという間に2点のビハインドを背負うことになった。
今季終盤戦の足踏みを象徴するような流れになったが、チームは土壇場で底力を見せる。69分にムルジャが追撃の1点目を突き刺すと、ピッチを広く使った攻撃で大分に圧力を掛けていく。81分には「相手が受けに入ったというのもあったが、2失点してからはこっちのリズムでできていた」と振り返る大屋のシュートのはね返りをムルジャが押し込み同点とする。さらに87分にはその勢いのままにムルジャがPKを獲得。これを不動のエース・家長が冷静に決め、出来過ぎなシナリオを完結させた。
試合運びは決して満点ではなかったが、何よりも結果の求められた一戦で勝利を手繰り寄せるパワーを見せたことは、大きな収穫だ。タイトルには縁のなかったチームが何かを手にするためには、産みの苦しみが伴うモノ。試練を乗り越えた大宮は、有形無形の財産を携えてJ2優勝・J1復帰を決めた。(片村 光博)