シンガポール戦における新戦力の活躍は、試合に出なかった選手たちにも大きな刺激となっている。特に柏木陽介の活躍で競争意識を高めているのはボランチの候補である山口蛍と遠藤航の二人。山口は柏木のプレーについて「陽介くん(柏木)の特長がまさしくあそこにあると思うし、僕に求められても自分の特長はあれじゃない」と主張するが、指揮官からも求められる攻撃の質を高めるための参考にはなったようだ。
「ボランチはもともと、層が厚いのは分かっている。来ていない選手でも良い選手はいる」と言う遠藤も「陽介くんはボールを縦につけること、攻撃に絡む部分を出しながら、守備でも切り替えの部分はしっかりやっていた。これからのボランチというのは攻守にわたって活躍できないとポジションを勝ち取るのは難しい」とイメージをさらに高めている。
柏木というゲームメークの得意な選手が切り替えや守備もこなしたことで、年代が下の二人も意識を引き上げる必要が出てきた。長谷部誠とコンビを組む場合もそうだが、山口と遠藤のセットになった場合でも、中盤における攻撃のクオリティーが明らかに下がれば、やはり「柏木のような選手がいないと攻撃が機能しない」という評価につながる。タイプで言うなら今回のメンバーから外れた柴崎岳のほうがより柏木に近く、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督がそういう選手を必要と判断すれば、柏木と柴崎を同時に招集して、山口か遠藤が外れるというケースも出てくるだろう。柏木の活躍というのは控えの選手にチャンスだけではなく、危機感ももたらしているのだ。
山口と遠藤が持ち前の守備力や機動力を発揮しながら、攻撃のクオリティーをどう出していけるのか。遠藤が「両方できる準備はしないといけない」と語るとおり、右SBというオプションもあるが、自分たちの特長とチームに求められるモノ、柏木の活躍が、その両面でさらに高い意識をもたらすきっかけになったことは確かだ。(河治 良幸)