試合終了のホイッスルが鳴ると同時に選手たちは糸の切れた人形のように一斉にひざから崩れ落ちた。ここまで快進撃を続けてきた愛媛が夢見ていたJ1への道があと“2歩”のところで潰えた瞬間だった。
前半はまさに今季の愛媛が見せてきた思い切りの良い積極性が出た。愛媛側の出方をうかがうC大阪に対して、シンプルに前線にボールを入れ、突破口を見いだした。好機とあらば勇気を持って複数の選手がペナルティーエリア内に進入。決勝へ勝ち上がるために必要なゴールを果敢に狙いに行った。
前半を0-0で折り返すことは愛媛としては概ねプランどおり。前半の内容も“らしさ”が出ていたことを考えると、勝負所と見ていた後半に向けて良いアプローチが取れていたはず。しかし、いざ後半のフタを開けてみると想定していた状況とプレーはリンクしなかった。「後半にもっともっとギアを上げて行きたかったが、そこはさすがC大阪。底力を見せていた」と木山監督。愛媛の出鼻を挫くようにC大阪が前がかりに攻勢を強め、一転して愛媛は後手の守備に。持ち味の組織での強みは出せず、勝負するフィールドを個々のクオリティーにすり替えられていた。
ゴールが欲しい。しかし状況は守勢。攻勢をかけたいのにその糸口さえ見いだせないまま時間はもどかしく経過した。一旦崩れたバランスは結局、最後まで戻ることはなかったが、それでも勇気を持ってあきらめずにプレーをする姿勢は失わなかった。挑戦者魂。それが愛媛の選手を前向きに動かす原動力であり、最も大きな武器でもあった。それはこの試合でも終了のホイッスルが鳴るまで完遂。だからこそ、河原は目頭を熱くさせながら「悔しい。でも僕たちは出し切った」と語った。後悔なく最後まで挑戦者らしく戦った姿は清々しさすら感じるものだった。(松本 隆志)