負けてもおかしくなかった福岡。両者にとって今季を象徴する試合
戦術の根幹であるウェリントンを山下に封じ込められ、「なかなか起点が作れなかった」(末吉)福岡はC大阪に主導権を握られ、60分に先制を許す。直後、まるで敗戦が決まったかのようにウェリントンはうずくまってしまう。ベンチから見ていた坂田は「ちょっとヤバいなっていう雰囲気」と証言する。ウェリントンも「間違いなくC大阪のほうが良いプレーをしていたのが事実だし、C大阪が勝利してもおかしくなかった」と振り返る。そんな状況、試合内容から昇格を勝ち取れたのは事前の準備があったからこそだった。「ビハインドになった場合も想定して練習していた」と井原監督は84分に中原貴を投入し、用意していた2トップに移行する。前への推進力を増した福岡に対し、C大阪は2点目を奪えなかったこともあり、中澤の投入を準備し、逃げ切りの姿勢を整えた。しかし、その矢先、中盤での不用意な奪われ方からカウンターを許すと亀川のクロスに逆サイドから走り込んだ中村北がサイドネットに突き刺した。土壇場で状況を一変させた福岡がJ1昇格プレーオフ史上初めて3位チームでの昇格を果たした。
結果的には今季の両者を象徴するような試合展開だった。「最初にいろんな困難があって、最終的につかみ取る。今年の終盤にかけてこういう戦い方ができたし、シーズンどおりの結果」と酒井は胸を張る。一方、C大阪は「今年1年戦ってきた中でのやられ方に似ていた」(田代)、「決め切るチャンスがなかったわけではないから、そこでいかに冷静になれるかどうか。1年間をとおして、そこは足りなかった」(山口)という形。質は決して高くはないが、ゴール前での勝負強さを見せてきた福岡と、その逆だったC大阪。今季、両者が見せてきた歩みは大一番でもそのままに表れた。(杉山 文宣)