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上回るのは神戸の“想い”か、浦和の意地か/天皇杯準々決勝 神戸×浦和 プレビュー

2015/12/25 6:00


Photos: © J.LEAGUE PHOTOS

■ヴィッセル神戸
一つになる。神戸を愛する仲間のために
 空気は冷たい。それでも、照らす太陽が暖かさを運んだ12月のいぶきの森球技場。「夏は涼しかったから、いま暖かいのはちょうどバランスが取れているかな(笑)」。優しい眼差しを練習場に向け、いつもと変わらないハードなトレーニングを見守り続けてきた人は言う。2ndステージ最終節・浦和戦(2●5)後、神戸はわずか4日間だけのオフを取り、天皇杯準々決勝・浦和戦へ向けて始動した。練習場のすぐそばからは、無数の声なき“がんばれ”というメッセージが届けられた。クラブ悲願の初タイトル獲得へ、ありったけの“想い”を受け止めながら、チームはひたむきに、ガムシャラに練習を積んだ。
 今季、多くのトレーニングをこなし、多くの試合を戦ってきた。強い自問も生まれる。頑張れたか。出し切れたか。素直に応援できたか。愛情を見失っていないか。戦いの舞台では感情が揺れ動く。冷静でいろと言い聞かせても、感情の乱れはいつしか悔いに変わる。澄んだ空気が包む12月のいぶきの森は、苦悩を乗り越え、強く優しいメンタリティーを研ぎ澄ますための大切な場所だった。
 神戸に関わる誰もが仲間への“想い”を宿す。それを土台に信頼が生まれ、誇りを育てる。神戸というクラブが決して忘れてはいけない“絆”の原点だ。“想い”が球際を強くする。“想い”が選手を走らせる。“想い”がボールをゴールへ運び、“想い”がピンチを食い止める。「勝つためにどれだけまとまれるか」(田中)。高みに連れて行きたい誰かがいる。神戸を愛し、支え、戦う人々の“想い”を背負い、選手たちはピッチの上で一つになる。
 元日決勝まで3試合。岩波は言う。「今季の神戸はこれ(天皇杯)が最後だから」。去る者がいて、来る者がいる季節。26日13時、キックオフを告げる笛の音は、15年シーズンを“トモニ”戦ってきたすべての仲間の、新たな挑戦への号砲となる。(小野 慶太)

■浦和レッズ
再スタート。神戸への苦手意識はもはやなし
 今季最後のタイトル獲得へ。今季こそ優勝という目標を掲げながら、Jリーグはチャンピオンシップ準決勝で勝ち点9差の3位・G大阪に延長戦の末、1-3で敗れるという屈辱を味わった。浦和にとって、天皇杯は唯一の残されたタイトル。いまこうして8強に残っているだけでは「意味がないし、しっかりタイトルを獲る」(関根)こと、そして、現段階ではプレーオフに回ることになっているACLにおいて本戦からの出場権を獲得すること、これが浦和の使命だ。
 チャンピオンシップ以降、公式戦が約1カ月空くという難しい状況ではあったが、チャンピオンシップ準々決勝後は6日間の長期オフを取り、翌週は日本体育大、先週はFC東京と練習試合を行い、徐々に天皇杯に向けてのテンションを上げながら準備を進めてきた。その期間、チャンピオンシップで負傷を悪化させた那須は練習にこそ参加していたものの控え組でのプレーが続き、今週に入って「ようやくコンディションが上がってきた」状態。練習再開直後や日体大戦は阿部、そして先週からは永田がリベロに入り、「このまま行くかもしれない」(西川)状況になっている。
 もちろん、大事なことはタイトルを獲ることだが、いまから先のことを考え過ぎても仕方がない。大事なのは「決勝のことは考えずに、まずは神戸戦のことだけを考える」(西川)こと。08年以降、3勝3分8敗と圧倒的に分が悪い神戸だが、ここ3試合は1勝2分と負けなし。今季のアウェイ(1△1)では勝利こそ逃したが、アウェイでの神戸戦の連敗を『5』で止めると同時に1stステージ優勝を決め、2ndステージの最終節ではモチベーションの違いがあったとはいえ5-2で快勝。「自分たちのサッカーができれば勝てる自信がある」と言ったのは武藤だが、多くの選手が苦手から自信へと意識を変えている。まずは神戸戦。浦和のタイトルを目指す今季最後の挑戦が再スタートする。(菊地 正典)

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