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「あれは大きかった」とG大阪の倉田は振り返った。倉田の示す“あれ”とは、鳥栖が後半、同点に追い付いたあとに生じた予期せぬ水入りのこと。後半開始前に副審の指摘により、バックスタンドから向かって右側のゴールネットの補修が行われた。しかし、76分、鎌田のシュートに対し、ゴール前に突っ込んだ選手が勢い余ってゴールネットを破損させてしまい、約7分間の中断が生じた。同点に追い付き、「あの時間帯、一番流れが良かったので、言い訳になるが、あのままやらせてあげたかった」と森下監督が悔やむほど、それまでは鳥栖のペースだった。ただ、確かに鳥栖にとっては悔やまれる中断ではあったが、それは結果論だろう。
予期せぬ中断が入ったことで林は「相手にチャンスが一度は来るだろうなと思っていた」と話す。「そこで止めるか、止めないか」(林)で流れの傾きが決まるところだったが、宇佐美という傑出したタレントが中断によってイーブンに戻った流れをG大阪に引き戻す。「中断明け、最初のプレーが大事だとは思っていたけど、もっとみんなで集中しないといけなかった」(岡本)。鳥栖はサイドでの軽い対応が続くと倉田に突破を許し、最後は宇佐美に決められてG大阪に再びリードを奪われる。その直後には菊地と林の連係ミスから立て続けに失点。「今季を象徴していた」(岡本)内容の敗戦で鳥栖の天皇杯はベスト8でついえることになってしまった。
長年使用してきたホームスタジアムの“アシスト”はあったにせよ、G大阪はそこで流れを引き戻す機会を見逃さない勝負強さを見せ、また、エースの宇佐美がゴール前での質の高さを示してみせた。前回王者は万博ラストゲームを勝利で飾り、連覇に向けてベスト4へと歩を進めた。(杉山 文宣)