FW 9 工藤 壮人
柏生え抜きの、そして柏史上最高のFWが海外移籍を決断した。行き先はカナダ・バンクーバー。北米リーグ・MLSに属するホワイトキャップスだ。平野孝氏、小林大悟(レボリューション)らに在籍経験がある。
かねてより海外移籍を模索していた工藤だが、「25歳は年齢的にもラストチャンスだと思った」と移籍話を引き受けた経緯を明かす。ジュニアユース時代からの恩師・吉田監督にも相談し、「なかなかないチャンス」と背中を押されたという。恩師との退任時期と重なったが、それは「タイミングが合っただけ」。今回はストライカーとしてのオファーであり、クラブから期待されているのはずばり、決定力の向上だ。
「日本人があまりプレーしていない地で活躍したい。先駆けとしてのモチベーションも高まっている」
Jリーグよりもレベルは高いと言われる、成長著しいリーグへ。カナダ経由欧州行き、代表復帰も見据えた前向きな決断だった。リーグ開幕は3月初旬。移籍先からの早期合流の希望もあり、天皇杯終了後、そう時を待たずして渡加する予定となっている。
プロ入りしたアカデミー時代の同期7人の中でも、決して傑出した存在ではなかった男が紡いできた、柏でのかけがえのない物語は一旦中断する。それはサポーターにとって残念な決断かもしれない。ただU-10から在籍し、チーム歴代最高得点数を更新した“柏の9”が全身全霊を懸けてレイソルのために戦ってきた事実は変わらない。29日の天皇杯準決勝・浦和戦に敗れたことで、愛するクラブへの最後の置き土産としたかった天皇杯のカップは、手にできなかった。それでも、「タイトルを獲ることで成長してきた」男とともにあった、ユニフォームの胸に輝く3つの星の価値は不変だ。(田中 直希)
工藤 壮人(くどう・まさと)
1990年5月6日生まれ、25歳。177cm/74kg。東京都出身。柏U-15→柏U-18を経て、09年にトップ昇格。今季、北嶋秀朗氏が持っていたクラブのJ1最多得点記録(52点)を塗り替えた柏のエース。J1通算162試合出場56得点。J2通算27試合出場10得点。国際Aマッチ4試合出場2得点。