我慢。浦和のキーワードであると同時に、1stステージを制した大きな要因の一つだ。それが、天皇杯準決勝でも苦しみながら柏を撃破した大きな要因となった。
柏は浦和の1トップ2シャドーとワイドに合わせて中谷を中央に置く5バックを敷き、守備を固めてきた。前線から積極的にプレッシングを掛けてビルドアップをつぶすとともに、中を切って浦和の縦パスを奪ってカウンターをしかけることを狙った。このことは明白であり、「サイドに出すしかなくなってしまった」(那須)。それでも闇雲に攻めることなく、「相手を疲れさせて一つのスキ(を突く)というか、必ず中を割れると思っていた」(那須)と我慢しながら戦った。相手を疲れさせて終盤に点を取って勝利する。それは1stステージの勝ちパターンのひとつ、つまり成功体験による自信でもあった。
それゆえにボールを保持し、チャンスを作りながらも90分で勝負を決められなかったことについても焦りはなかった。むしろ後半から、特に延長になってからは「ゴールキックもあえてつながなかった。受け手がうまく連係を取れないときに(近くに)出して奪われるのが一番流れを悪くすると思ったので、割り切って蹴るところは蹴る」と西川が言ったように、リスクを避けた。それは「我慢強く守ることができれば必ず点が入ると誰もが思っていたと思う」(西川)という自信でもあった。
そして0-0で迎えた119分だった。PK戦の可能性がチラつくと同時にチャンピオンシップでG大阪に決勝点を奪われた時間が近づいてきた中、我慢しながら「サイドに出た瞬間にとにかく突っ込もうと思っていた」と前線に顔を出した那須が中央でボールを受けてから左にはたくと、梅崎は一度は相手にブロックされながらも拾い直してクロスを上げ、「良い距離感を持ちながら自分のスペースを確保することをずっと意識していた」李がヘディングシュートを叩き込む。
「本当にまた我慢ができている」(那須)。リーグ戦で年間勝ち点1位を逃し、チャンピオンシップ準決勝で敗れた浦和が、この2試合で“強さ”を取り戻してきた。悲願の頂点まではあと一つだ。(菊地 正典)