Photo: © Atsushi Tokumaru
1年の計は元旦にあり――。元日決戦でG大阪が見せたのは西の常勝軍団であり続ける、という確固たる決意だった。「良い1年のスタートと言うか、今季は忙しかったけどみんながタイトルを目指してやってきた結果」(遠藤)。
形の上では2016年最初のタイトルであることは間違いない。ただ、G大阪にとって浦和との決勝戦は悔しい思いをかみ締め続けた15シーズンの記憶を上書きすべき一戦だった。「10個シルバーを集めても金1個にはならない」と試合後の会見で長谷川監督が語った言葉は、選手の誰もが感じていた思いでもあった。
15年に戦った公式戦は実に59試合。ACLの4強進出は健闘と言える結果だが、ナビスコカップとチャンピオンシップではいずれも決勝で涙を飲んだ。三冠王者が一転、“シルバーコレクター”と化した感もあったが、チームが得たモノがなかったわけではない。「下から見上げるのはうんざりしていたので」(宇佐美)。タイトルを獲る喜びを思い出したのが14年だとするならば、タイトルを獲り続ける難しさを思い知らされたのが15年。常勝軍団の元祖とも言える鹿島の意地に粉砕されたナビスコカップ決勝や広島に一瞬のスキを突かれたチャンピオンシップ決勝を経て、G大阪はタイトルへの飢えを取り戻した。
決勝で退団が決まっている明神をあえてサブにも入れず、準決勝・広島戦(3○0)ではベンチ外だったリンスを攻撃のカードとして用意したり、ほとんど用いて来なかったセットプレーのトリックプレーを練り上げたりしていたのは指揮官のタイトルへの執念でもあった。 そして、大舞台で試合を決定付けたブラジル人ストライカーもまた、さまざまな意味で悔しさをバネにはい上がって来た。「広島にリベンジしてみせるよ」。チャンピオンシップ決勝2試合は長沢に先発を譲り、そのプライドを傷付けられたはずのパトリックだが、腐るどころか課題の守備もフルにこなし準々決勝以降は攻守で貢献。決勝では、堂々たる主役の座を勝ち取った。 2月のACL初戦から11カ月に及んだ長く険しい道を全速力で走り続けたG大阪。時につまずき、時に息切れしかけたが、60試合目のゴールに待っていたのは歓喜だった。「僕は昨季の三冠よりも今季の戦いは価値があると思っている」(丹羽)。タイトルの数では14シーズンに遠く及ばない。ただ、執念でもぎ取った15シーズン唯一の星は、昨季の3つの星に負けない光を放っていた。 (下薗 昌記)