Photo: © Atsushi Tokumaru
これまで以上に強くタイトルを意識して戦ってきた浦和の15シーズン。しかし、タイトルを獲得することはできなかった。リーグ戦では1stステージを制し、最後まで年間勝ち点で首位を争いながらもチャンピオンシップ準決勝でG大阪に敗れ、年間順位は3位。そして天皇杯は準々決勝・神戸戦(3○0)、準決勝・柏戦(1○0)とそれぞれ内容を伴う結果を出して決勝に進出したが、またもG大阪に敗れた。
天皇杯決勝の敗戦後、多くの選手たちがタイトルを獲れない理由について整理できていない様子だったが、この試合を左ひざの負傷によって欠場した柏木が常日頃から「俺がもっとよければチームも良くなる」と話しているように個々のレベルアップが不可欠であることを痛感する結果でもあった。ただ、それはチームとして年々ベースアップができているからこその課題とも言える。
その中でチームとしての戦いについて一つ提案したのが槙野だった。槙野もやはりタイトルに手が届かない理由を「分からない」としながらも、次のように続けた。「いまの時点でチームにとって一番必要なのはチーム全体での守備だと思う。一人ひとりの能力が高いぶん、そこでケアしている、カバーできているのがあるけど、チーム全体としての決まりごとは正直はっきりしていない」。それができれば必ずしも優勝できるとは限らないが、「タイトルを獲るためには必要になってくること」は確かだろう。
来季は金銭を伴う移籍や期限付き移籍での放出の可能性はあるが、クラブは自ら退団、引退を決意した鈴木を除いた今季限りの契約だった選手たちと契約を更新した。ペトロヴィッチ監督の戦術を経験した選手たちに加えて来季は湘南から遠藤、京都から駒井が加わる。15年は期限付き移籍からの復帰と新人を除いて6人もの選手を獲得したが、16年は最低限の補強で臨む。
もちろん、ペトロヴィッチ監督の続投が決まっている以上、16年も“継続”がテーマとなる。ペトロヴィッチ監督が就任してからの4年間、当初はうさぎのように急ピッチで成長してきたが、特にこの2年は亀のようにゆっくりと、ただ確かに成長はしながら、「何回も悔しさしか残らない」(阿部)結末を味わってきた。その中で一つタイトルを獲れば状況は大きく変わると選手たちは実感している。「浦和の時代をしっかり作っていかないといけない」(宇賀神)。16年こそ“浦和の時代”の始まりとすることができるか。悔しいシーズンはもう十分だ。 ( 菊地 正典)