Photo: Norio Rokukawa
攻守がかみ合ってつかんだ余裕ある勝利
決勝トーナメント進出の懸かったタイとの一戦はチームの総合力とスカウティングの両面においての勝利だった。タイは消耗していながら、メンバーを代えてこないという情報をつかみ、「ウチは思い切って代えていける」(手倉森誠監督)と踏んでメンバーを6人変更。そのフレッシュな選手たちがピッチで躍動した。
中盤ではMF原川力がリズムを作り、MF矢島慎也が受け手としても出し手としても輝いた。前線ではFW浅野拓磨がスピードでタイDFを圧倒する。タイは[4-1-4-1]のアンカーの両脇にスペースが生じやすいというのも分析済み。そのスペースに矢島やFW鈴木武蔵、浅野が顔を出してボールを引き出し、攻撃が滑らかに回っていく。なかなか攻略できないでいたゴールも、攻撃陣で唯一2試合連続先発したストライカーがこじ開けた。27分、MF遠藤航のパスに呼応した鈴木が豪快な一発を蹴り込む。この一撃を皮切りに、49分には矢島が珍しい頭でのゴール。75分には途中出場のエース、FW久保裕也が抜け出し、右足を強振。さらに84分にも久保が倒されて得たPKを自ら決めて大量4ゴールを奪取した。
守備では、55分にPKを与えた場面こそ軽率だったが、インフルエンザから復帰2戦目の遠藤に力強さとアプローチの鋭さが戻り、DF岩波拓也を中心とした最終ラインは強気に押し上げ続けた。「しっかりボールを動かせてチャンスを作れた。チームとして一つ成長できた」と遠藤が言えば、「今日は良いラインコントロールができた」と岩波も胸を張った。
タイ戦後の取材エリア。最後に姿を現した手倉森監督は「この先もっとしびれるゲームが来るということをそろそろ刷り込んでいかないといけないと思っている」という言葉で締めた。勝って兜の緒を締めよ――。裏を返せば、それだけタイ戦は余裕を持って戦えたことを意味していた。(飯尾 篤史)