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手倉森ジャパン、我慢の試合を制す
終了のホイッスルが鳴ると同時に喜びの輪がはじけた。「あまり感情を表に出さない選手たちが出していた」と手倉森誠監督も目を丸くした喜びようは、逆説的に試合のしんどさを物語っていた。
そして試合後、「苦しい場面が多かったが、(失点を)ゼロに終われて良かった」というコメントを残したのはDFの選手ではなく、FW久保裕也だったのはチームのメンタリティーを象徴していた。
特に前半の日本はイランの圧力に押されて苦し紛れのロングボールやクリアボールが上空を行き交う流れ。それを受けるためのFWオナイウ阿道先発であり、実際にオナイウが粘り強く競ったことで簡単な2次攻撃を受けなくすることにはしばしば成功していたのだが、苦しい流れには違いなかった。
26分にはGKのロングキックからオナイウが競り勝って久保が裏に抜け出すという一つの狙いとしていた形で決定機も作ったが、これが流れの中から前半最初のシュートだったという事実が日本の苦境を雄弁に語る。ただそれでも選手たちは「耐えていれば、前が点を取ってくれると思っていた。失点ゼロでいこう」(DF植田直通)と堪え忍ぶ。真っ向勝負を挑むリスクは避けて、相手の攻勢を受ける側に回った。
日本が勝負に出たのは後半も残り10分を切ってから。イラン側に足をつる選手が出始めて、体力面で優位に立てることを確信してからである。FW浅野拓磨、MF豊川雄太というランニングプレーを得手とする選手が相次いで送り込まれ、彼らがイラン守備陣をかき乱していった。
延長突入後の95分、DF室屋成のクロスを豊川が頭で押し込んでついにリードを奪うと、延長後半にはMF中島翔哉が目の覚めるようなシュートを連続で決めて、3-0。そのまま逃げ切った日本が「何としてでも突破したい場所だった」(手倉森監督)準々決勝を抜け出し、アジアの4強へ駒を進めた。(川端 暁彦)