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今大会のイラクは13年のU-20W杯でベスト4入りを果たした“黄金世代”であり、2年前のAFC・U-22選手権も制している今大会の第1シード国である。
しかし、日本キラーとして知られるウディネーゼのMFアリ・アドナンら実力者が招集できず、A代表のMFサイーフ・サルマンが大会中にチームを離脱(理由は諸説あって判然としない)するなど、ベストには遠い陣容だ。とはいえ、依然として優勝候補の一角を占める強国であることに代わりはない。何しろ先発のほとんどがA代表キャップ持ちで、国際試合の経験値は確実に日本より上の選手たちだからだ。
最も知名度があるのは[4-1-4-1]システムの右MFに入る“イラクのメッシ”ことフマム・タリクで、17歳でA代表にデビューし、そこから30試合余りのキャップ数を刻んできた実力者である。ただ、技術のあるレフティーなのは確かだが、ややオーバーウエイトなのか今大会は本来の切れ味がないとの評価もある。
むしろ逆サイドの超絶技巧派MFアリ・ホスニとダイナミックな攻撃参加から精密なクロスを送り込む左SBハムザ・アドナンのコンビのほうが怖いかもしれない。左右からの攻撃に合わせるのは粘りと技巧のセンターFWモハメド・カラール。彼もまた若くしてA代表に定着した選手である。中盤の底から正確なパスを左右に散らしてくるMFアリ・カシムも厄介な選手で、二列目から飛び込んで来るスキルフルなMFマフディ・カミールも怖い。一方、スーパーサブとなっている大型FWアイマン・フセインは完全な力押しタイプで、彼が入ってくるとロングボールの怖さが増す。絶対的な柱となる選手がいないぶん、誰かを抑えれば勝てるという印象のないチームとも言える。
守備は主将でありA代表メンバーでもあるCBムスタファ・ナディムが中心となり、激しい当たりと走力を利した戦う姿勢が売り。体を張って守る意識が強く、最後まであきらめずに戦い抜く闘争心と粘り強さも、イラクがほかの中東勢と一線を画するポイント。弱点はセットプレーの守備の緩さで、しばしばピンチとなっている。( 川端 暁彦)