Photo: Norio Rokukawa
イラクにリベンジし、6大会連続五輪へ
優秀なシナリオライターでも、なかなか書けない劇的なエンディングだった。
準々決勝から中3日で迎えた日本と、中2日で迎えたイラク。ともにメンバーを入れ替えて臨んだが、この差はやはり大きかった。イラクはUAEとの準々決勝で見せたようなスピーディーな地上戦は見せられず、守備からゲームに入った日本も思いのほかイラク陣内でゲームを進める時間が多い。
試合が動いたのは26分。右股関節痛から復帰したFW鈴木武蔵が左サイドを突破してクロスを入れると、FW久保裕也がスライディングで蹴り込み、日本が先制点を手に入れた。その後も日本が相手ゴールに迫り、「前半に2点はいけると想定していた」と手倉森誠監督。だが43分、CKから1点を返され、1-1で試合を折り返した。
日本にとって警戒すべきは長身ストライカー、アイマン・フセインがいつ投入されるのか、だった。指揮官が「かなり意識していた」というこのFWは、しかし、最後まで投入されなかった。そこにどんな理由があったのかは定かではないが、イラクが後半に入っても地上戦での勝負を続けてくれたことで形勢が少しずつ日本に傾いていく。
78分には「90分で決着をつける」(手倉森監督)べく、久保に代えてFW浅野拓磨を送り込む。そうして迎えた後半ロスタイム。MF原川力の左足による弾丸シュートがイラクゴールに突き刺さった―――。
その約2分後ホイッスルが鳴ると、ベンチから選手たちが飛び出し、原川の上に覆いかぶさって歓喜の山を築く。MF遠藤航の、鈴木の、DF室屋成の瞳が涙で光る。試合後、そのことを問われた遠藤は「勝てないと言われ、悔しさを味わってきた。積み上げてきたことが結果として表れてうれしかった」と語った。
日本はこれまで二度対戦し、ともに敗れていた相手に、最高の舞台でリベンジを果たすことに成功した。(飯尾 篤史)