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ドーハに歓喜の歌声をこだませてから一夜明けて取材に応じた手倉森誠監督は、選手たちの様子を「五輪出場への重圧、プレッシャーから解き放たれて安心した様子」と見ていた。感情の爆発から中3日で迎える決勝戦は、まず心理面で難しい状況だ。
思い出すのは20年前のアトランタ五輪最終予選。準決勝で死闘の末に出場権をつかみ取った選手たちは、決勝では思うようなプレーを見せられぬままに敗れた。“五輪切符”で激しい重圧を受けてきただけに、達成感を得てからの心理状態というのは難しい。当時の相手は奇しくも韓国。“対日本”ということになると自然とモチベーションに火が点く彼らに対して、気持ちをどう持っていくかがポイントになる。
手倉森監督は歓喜の翌日、全体練習を行わず、ホテルでの調整のみに充て、リフレッシュを図った。肉体的な休養はもちろん、心理的なリセット効果を狙ったものだろう。メンタル面で見るなら、もう一人のキーマンは秋葉忠宏コーチか。20年前のアトランタ五輪戦士であり、決勝の難しさをよく知る男。何より、このチームの“モチベーション・コーチ”である。
そして選手たち自身から「アジアの頂点を獲る」という気持ちが湧いてくるか。「ザックジャパン以来、アジアのてっぺんを獲っていない状況」(手倉森監督)を打破するのが、「アジアで勝てない世代」と揶揄されてきたチームだとすれば、何とも痛快ではないか。日本サッカーの未来を担う若獅子たちから「韓国に負けてメダルが獲れるか!」という燃えるようなハートが見える試合になることを期待している。(川端 暁彦)