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“耐えどころ”と“勝負どころ”の共通理解
「全員が耐えどころを理解してきた」と指揮官が言えば、主将も「全員が勝負どころを分かっていた」と言う。日韓戦という形で迎えた今大会のファイナルマッチは、手倉森ジャパンらしからぬ失点劇に始まり、手倉森ジャパンらしいとしか言いようのない「ドラマティック」(手倉森監督)な結末が待っていた。
試合は立ち上がりから韓国ペース。「相手は俊敏でうまかった」とMF矢島慎也が振り返ったとおり、相手の巧みな技術にいなされてボールの奪いどころが見えない流れの中、20分に早くも失点。それもサイドチェンジを起点にして崩される形で、今大会初めてセットプレー以外から失点を喫することとなった。
何とか前半を0-1で乗り越えた日本だったが、後半の立ち上がりにまたも失点。[4-3-3]へのシステム変更で生まれたスキを突かれる形でサイドを崩され、FWジン・ソンウクにゴールを許してしまった。その後は一方的に殴られる時間帯もあるなど最悪の展開だったが、まさに“耐えどころ”と割り切った選手たちは我慢の対応。相手の決定力不足にも助けられて乗り切ると、60分のFW浅野拓磨投入による[4-4-2]への再度のシステム変更からギアを切り替えた。
その後も韓国にチャンスのある流れだったのだが、ブラジル風に言うところの「棺桶のフタを閉め忘れた」状態。日本イレブンは、66分に生まれた浅野の裏抜けからのゴールを機にゾンビのように一斉に立ち上がった。全員が“勝負どころ”と認識し、ゆるめることなく2点目を狙う。68分、左SB山中亮輔の果敢なトライから生まれた好機を矢島が頭で決めて同点に追い付くと、81分にはカウンターから再び浅野が決めて大逆転を達成。
その後の相手のパワープレーはDF植田直通を中心にしのぎ切り、少しばかりせこく時間も使って逃げ切りに成功。日韓戦の歴史に燦然と残り、語り継がれるであろう大逆転劇を完遂してみせた。(川端 暁彦)