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個々の能力では劣った日本。育成の遅れに目を向けたい/AFC U-23選手権2016 クロスレビュー

2016/2/1 6:00


Photo: Getty Images

 粘り強く戦いながら、勝負のポイントを見極め、終盤に入って決勝ゴールを叩き込む−手倉森ジャパンが今大会で見せたのは、近年の日本代表とはひと味違う戦い方だった。

“守っては蹴る”を繰り返す彼らの試合運びに、焦れったさを感じた人もいただろう。あるいは、こんな創造性のないサッカーでは未来がないと頭を抱えた人もいたかもしれない。だが、U-20W杯を逃し続けたこの世代は国際経験が圧倒的に少なく、アジアを勝ち抜いた成功体験もない。U-17W杯に出場した選手たちは数人いるが、総じて国を背負った戦いにおいて自信を深める機会のなかったナイーブな集団だった。そんなチームをリオ五輪に導くためには、こうした戦い方を選択するほかなかった。

 今大会で明らかになったのは、アジアにおける日本のポジションの後退だ。純粋にチーム力、個々の能力を比べれば、日本は5〜8位ぐらいだったように思われる。少なくともトップ3ということはなかった。

 それでもリオ五輪の出場権を勝ち取れたのは、前述したような弱者の戦い方に徹し、ローテーション制を取り入れてコンディショニングで優位に立ち、FW久保裕也とMF南野拓実の欧州組をチームに組み込み(イランやイラク、豪州などは欧州組を招集できなかった)、シェフを帯同させて食事・栄養面のサポートを万全にし、選手たちに団結力があり、いくつかの幸運に恵まれたからだった。

 今回は優勝することができたが、だからといって、日本の実力がアジアNo.1ではないことは、しっかり認識しておく必要がある。これを手放しで喜んで、育成の遅れに目を向けなければ、日本はW杯に出られなくなってしまう。

 リオ五輪本大会についてだが、個人的にはオーバーエイジは起用しないほうがいいと思っている。オーバーエイジを採用しなかった08年の北京五輪では3戦全敗を喫したが、そのときにピッチに立ち、世界を肌で感じ、悔しい思いを味わったMF本田圭佑、DF長友佑都、FW岡崎慎司、DF内田篤人、DF吉田麻也といった選手たちがいま、日本サッカーを背負って立つ存在になっている。

 だから、リオ五輪でも惨敗してもいいと言うつもりはないが、すでにA代表や欧州でのプレー経験のあるオーバーエイジを呼ぶのではなく、一人でも多くの若い選手たちに世界との戦いを経験させることが、日本サッカーの未来につながっていくはずだ。(飯尾 篤史)

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