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カタール入りの時点では不安満載。この優勝はチーム手倉森の勝利/AFC U-23選手権2016 クロスレビュー

2016/2/1 11:30



 強化は所属チームで、という基本方針にもかかわらず、所属チームの先発争いで後塵を拝してきた選手が多数占めていたのが、五輪代表チームの実情だった(今回のチームに始まったモノではないが)。万全の状態ならば、選ばれていた可能性が高かった、FW金森健志、MF野津田岳人らもけがのため、選考リストから外れた。

 加えて現地入り後に主将のMF遠藤航が、インフルエンザで発熱してダウン。大会前、このチームに五輪出場を予感させる要素は、ほとんどなかった。それが、懸念だったベスト8の壁をあっさり越えると、決勝では韓国を3-2で下して、見事アジアチャンピオンに輝いた。勝因は一体何だったのか。

 何よりも手倉森誠監督の手腕に負うところが大きい。守備をベースに、堅守速攻のスタイルを貫くとともに、選手起用にローテーションシステム導入して、グループリーグで総力戦を展開。結果のみならず、チーム全体を底上げした。韓国戦を除くすべての試合で、日本が先制点を上げたことで余裕が生まれ、試合の流れをベンチだけではなく、選手個々人が感じながらプレーできたのも、この年代では見られなかったモノだ。韓国戦では2点先行されると、すかさずFW浅野拓磨を投入し、攻撃モードに転じた。そして後半終盤に立て続けにゴールを挙げ、ライバル国相手に見事な逆転勝利を飾った。

 初戦の北朝鮮戦でゴールを挙げたDF植田直通が、ベンチに向かって控え選手と抱き合って以来、ゴールシーンで「約束事になった」(室屋)セレモニーも、ゴール効果によるアドレナリンを、チーム全員で共有することにつながった。日替わりでヒーローが出てくるのは、その相乗効果によるモノとしか思えない。監督も選手の輪に飛び込み、いわゆる“監督”らしくない人柄も好感が持てた。

 毎回、本大会の懸念事項となるオーバーエイジだが、国内組、海外組を問わず、チームに参加したい選手が自ら発信して、所属チームを説得するのがスジである。その中で手倉森監督が必要とする選手がいるなら、協会がその選手をバックアップすればいい。オーバーエイジこそプレーヤーズ・ファーストであるべきだ。この大会で、手倉森ジャパンというしっかりとしたプラッフォームがはっきり見えてきた。リオ行きのプラットフォームに乗り入れる車両は、これまでと違った色の車両も連結したほうが、面白いに決まっている。あとは運転士に任せればいいのだから。(六川 則夫)

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