Photo: Atsushi Tokumaru
日本サッカー界の宝が開花するための古巣復帰
1年前、杉本健勇は覚悟を決めて川崎の地にやってきた。大久保嘉人が「俺が(杉本)健勇みたいに187cmあったら最強やと思うよ」と羨むほどの体格とポテンシャルに恵まれながら、それが完全開花するまでには至らず、それまでのリーグ戦の年間最多得点数も『5』とFWとしては物足りない。そんな彼がC大阪の降格を機に“勝負の移籍”を果たしたはずだったが、わずか1年で愛着ある古巣に戻ることになった。
昨季は6得点とJ1リーグ戦で自己最多得点数を叩き出した。少なく思われるかもしれないが、出場機会が限られた中で挙げた先制点や同点弾など、貴重なモノが多い。一方で、レギュラー奪取は叶わなかった。「日本を代表するFWがいる中でメンバーに入るのは厳しいし、競争もある。だけどそこで負けないようにしなければと思うし、レギュラーをつかみ取ることができれば日本代表に近付く」
そんな思いを持っていながらの6得点という結果は、とうてい彼にとって納得のいくモノではなかっただろう。
しかし、ヴァイッド・ハリルホジッチ日本代表監督は彼の才能を高く評価し、“気にかけている存在”として代表候補合宿にも招集した。となると、よりアピールするために出場の機会を欲するのは選手として自然なこと。できることなら川崎Fで意地を見せてほしかったが、彼は古巣・C大阪への復帰を決断した。“ぬるま湯を選んだ”とか“自分に甘い”と批判されても致し方ないことかもしれない。ただそれでも、彼の決断を尊重したい。本紙でも幾度か述べたが、彼がこのままつぶれてしまうことは、日本サッカー界にとって大きな損失なのだから。(竹中 玲央奈)
杉本 健勇(すぎもと・けんゆう)
1992年11月18日生まれ、23歳。187cm/79kg。大阪府出身。C大阪U-15→C大阪U-18→C大阪→東京V→C大阪を経て、昨季川崎Fに加入。今季C大阪に復帰を果たした。各年代の日本代表に選ばれ、12年のロンドン五輪では4試合に出場し、ベスト4進出に貢献。昨年5月には日本代表候補に初選出された。J1通算113試合出場17得点。J2通算18試合出場5得点。