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その“縁”に疑いを持たない“神戸の右”
田代有三、橋本英郎、野沢拓也――。
12年、華々しく神戸で会した歴戦の猛者たち。ACL出場権の獲得を目指した大型補強の中で、早稲田大から加入したのが奥井諒だった。
あれから4年のときを経て、右サイドでのバイタリティーあふれるプレーでファンを魅了した背番号25が神戸を離れる決断を下した。これで、12年加入組はチームから誰もいなくなった。
奥井は神戸と1年契約を結んできた。自らを追い込み、成長と向き合う意思の表れだ。神戸への感謝と愛着を隠さない。だが、神戸特有のクラブ体質への拭い切れない不信感もあった。14年暮れには移籍も視野に入れた。だが、そのときは残留を決断。昨夏の移籍期間中には、後に新天地として選ぶことになる大宮からオファーが舞い込んでいる。大宮の奥井獲得は、ブレない強化方針の成果だった。
奥井は神戸との“縁”に疑いを持たない。14年に大学時代から交際していた神戸出身の女性と結婚。「だから神戸に入ったわけじゃない。“縁”があったってことだと思う」。小さく笑う奥井の横顔には、悲喜こもごもの気配がにじんだ。
神戸の象徴、北本久仁衛を尊敬する。また、それに劣らず、15年に神戸から大宮に移籍した河本裕之も尊敬する。「(移籍先を)大宮に決めたのは、河本さんがいることが大きかった。僕にとってクニさん(北本)と河本さんは特別。あと翼さん(大屋)は2%くらいかな(笑)」。同じく15年に神戸から大宮に移籍した大屋翼のことも、ほんのちょっとだがリスペクトだ。 かつて、“神戸の右”として何度もサポーターに歓喜の涙を届けてきた奥井。「神戸に負けるわけにはいかない」。新たな挑戦に肝を据える弾丸小僧は今季、オレンジ色の戦闘服に身を包む。明るく輝く、“大宮の右”に期待したい。(小野 慶太)
奥井 諒(おくい・りょう)
1990年3月7日生まれ、25歳。169cm/62kg。大阪府出身。G大阪JY→履正社高→早稲田大を経て、12年に神戸に加入。今季、大宮に完全移籍。高校時代の07年にはU-17日本代表に招集された経験を持つ。J1通算57試合出場1得点。J2通算40試合出場2得点。