リーグ戦とACLを戦えるだけチーム編成に
今オフ最大の懸案事項だったドウグラスの残留を成し遂げることはできなかったが、クラブのリアクションは悪くなかった。清水からピーター・ウタカ、京都から宮吉拓実を獲得。個性の違う二人のアタッカーが加わり、さまざまなバリエーションが模索できる状況だ。また、山形からサイドアタッカーのキム・ボムヨンを迎え、青山敏弘や塩谷司ら長期契約を結んでいる中心選手だけでなく、既存戦力もほぼ残留。「多くの選手が残ってくれて、今季は昨季に上積みできる」と森保一監督は見据えている。少々30歳を超えるベテランが多いが、リーグ戦とACLを並行して戦うタフなシーズンに挑み、タイトル争いに加わっていくだけのチーム編成はできたと言える。
決して派手な動きではなかったが、クラブ規模もふまえなければならない。何より広島には5年目を迎える指揮官の下で積み上げてきた強固なベースがある。「2チームぶんの戦力がある」(森保監督)という自負は、昨季のクラブW杯で誰が出ても戦えると示したことでさらに深まり、チーム内の競争意識はより高まっている。今季から10番を背負う浅野拓磨のさらなる飛躍はもちろん、ほかにもブレイク候補が各ポジションにひしめいており、「どのポジションもレギュラーは確定していない」と足立修強化部長。将来有望な森島司と長沼洋一の二人のルーキーも加わり、競争は昨季よりも激しさを増しそうだ。
今オフも優勝メンバーの一人が移籍を決断したことは残念だが、変化はまた新たな可能性を生み出す。タフでハードなシーズンが待ち受けていることは間違いないが、競争力を高く保って総合力で勝負を挑む態勢は整っている。(寺田 弘幸)