派手ではないが、組織で働ける選手を的確に補強
今オフ、鳥栖は監督人事で注目を集めた。大型スポンサーの後押しを受け、バイエルン・ミュンヘンなどでブンデスリーガ制覇の経験を持つフェリックス・マガト氏の招へいを目指した。だが、土壇場で破談し、監督が決まらないまま越年。年が明けて1月7日、前FC東京監督のマッシモ・フィッカデンティ氏とスピード合意に至り、監督人事による混乱を最小限で収められたのは不幸中の幸いだった。
フィッカデンティ監督の就任により、鳥栖が目指すのは規律のある守備をベースとした堅守速攻スタイル。これは鳥栖の伝統とも言えるもので、いわば原点回帰ということになる。実際に始動以来、大雪の影響による突発的な事態以外でオフはなし。インターバル走を連日実施し、合計100kmを超える距離を走破するなど体力作りを行っている。また、戦術面でも攻守において細かく決まり事を設定し、規律を求めている。走力と規律、昨季、ややあいまいになってしまった部分に徹底して取り組んでいる。
監督人事の遅れにより、補強でも遅れを取った感は否めないが、元々大物を引っ張ってくるようなクラブではない。他クラブで出場機会を失っていた選手や、強烈な個は持たずとも“組織の歯車”として能力を発揮できるタイプを獲得するのが鳥栖の本来の補強戦略である。その観点に立てば、満足ではないが、悲観するようなものではない、まずまずの補強ができたと言えるだろう。
鳥栖の伝統に対して親和性の高いフィッカデンティ監督の指導方針の下、原点回帰と近年の課題でもある世代交代に向けた若手の育成。2016年は、この二つを追い求めていくシーズンとなっていく。(杉山 文宣)