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■ガンバ大阪
J1クラブを相手にした貴重なテストの場
アジアとJリーグの二冠奪回を今季の至上命令とするG大阪。アデミウソンや藤本を新たに加えたその陣容も注目だが、サッカー界の耳目を集める“舞台装置”がいよいよ、そのベールを脱ぐ。
クラブの悲願だったサッカー専用スタジアム、市立吹田スタジアムのこけら落としで名古屋を迎え撃つ。「プレシーズンマッチを良い形で戦えれば、開幕に向けて良い感じになる」(遠藤)。わずか2週間あまりのオフをはさんで1月17日に始動したチームは、沖縄と宮崎でのキャンプを終え、最終調整の段階に入った。
昨季に負った負傷で岩下と西野、米倉が出遅れているのは懸念材料ではあるが、新たなけが人は嫁阪のみ。「コンディションを落とし切っていなかったので」と宇佐美も話すようにチーム全体が、始動直後から良い状態を保ちながら、ポジション争いを繰り広げて来た。
アデミウソンと藤本の即戦力組だけでなく、今季はルーキー7人が加わるフレッシュな陣容だが、37人の大所帯はG大阪U-23がJ3に新規参入するためだ。中でも大卒ルーキーの呉屋は初の実戦だった沖縄でのFC那覇戦でチーム最多の4得点。宮崎キャンプ最終日の蔚山現代戦でも2得点を挙げるなどアピールに成功。長沢がこの試合で脳しんとうを起こしたこともあり、名古屋戦では途中出場の可能性も十分ありそうだ。
チケット争奪戦の様相を呈していた記念すべきこけら落としは満員が濃厚で歴史的な瞬間を4万人の両サポーターが見守ることになる。「あまり結果、結果ということになると選手を長い時間も使えないし、試したいことも試せない」(長谷川監督)。本来、勝負事には徹底的にこだわるはずの指揮官がこう語るように、J1勢を相手にした貴重なテストの場であるのもまた事実である。新顔二人を加えた前線の連係や、開幕スタメンを目指すキム・ジョンヤの耐久力を名古屋相手に見極めることになる。新戦力と新スタジアムの双方が見どころとなる一戦だ。
■名古屋グランパス
スタイルの確立は道半ば。対外試合は2戦2敗
プレシーズンマッチとはいえ、新生・名古屋が目指すモノは、シーズン中に目指すモノと何も変わらない。チームスタイルの確立を追求しながら、結果を残していく――。これが今季における、唯一無二のミッションである。
J監督初挑戦となる小倉GM兼監督の追求するスタイルは、「5人目までが連動するサッカー」(小倉監督)だ。後方からしっかりとパスをつなぎながら、より多くの選手が絡みながらゴールに迫っていく組織的なサッカーを目指す。指揮官は[4-2-3-1]と[4-4-2]の併用を構想に入れており、システムこそ柔軟に考えているものの、「もしかしたら現役時代から追いかけていたのかもしれない」という攻撃スタイルへの信念にブレはない。2度にわたるキャンプでは、指揮官自らが獲得に動いた199cmの万能FWシモビッチらとの融合を図りつつ、目指すスタイルの構築に時間を割いている。
しかしながら、そのスタイル確立はまだ道半ばだ。フィジカル中心のタイキャンプを挟み、沖縄での2次キャンプで実践を重ねているものの、ここまでの対外試合は2戦2敗。6日に行われた湘南とのトレーニングマッチ(1●2)では、完成度の差を突き付けられる形で完敗を喫しているように、暗中模索が続く。とりわけビルドアップの求められる最終ラインは、闘莉王を筆頭に、昨季の主力から3人が入れ替わっており、再構築が急務。湘南戦では相手のハイプレスを受ける形でミスを頻発したり、ロングボールに逃げてしまったりと、追求するサッカーをまったく表現できなかったという。
開幕までに予定されている練習試合はあと2試合。もちろんチームスタイルは一朝一夕で作られるものではなく、まだまだチームを作り始めている段階だが、一つの結果が自信や成功体験につながり、チームの成長を早めてくれるはず。強豪・G大阪を相手に“小倉カラー”をどれほど出せるか。ここで初勝利がほしい。(村本 裕太)