Photo: Atsushi Tokumaru
後輩にアドバイスを送り去った最高の“教材”
昨季の前田遼一に続き、今季もジュビロ戦士がFC東京に新天地を求めた。駒野友一は08年に広島から磐田に加入して以来、8シーズンにわたってサックスブルーを支えてきた。ヤマハスタジアムのタッチライン際で上下動を繰り返した日本屈指のSBは、多くのチャンスを作り、多くのピンチを救ってきた。
その姿をルーキー時代から目に焼き付けてきたのが、櫻内渚だ。12年に関西大から加入した26歳は、偉大な先輩の背中を追い続けたこれまでをこう振り返る。「すべてが見本になった。自分にないものをたくさん持っている選手だったし、勉強になることが多かった」。
駒野は自ら人にアドバイスを送るようなタイプではない。しかし、教えを請う者は決して拒まない。櫻内は思い悩むことがあるとすぐに先輩のところへ行き、悩みを打ち明けた。
「分からないことがあれば、『俺はこうしているよ』と教えてくれる。それを自分の中で整理してプレーできたのが良かった」
最高の“教材”に恵まれ、櫻内はメキメキと力を付けていった。昨季はJ2リーグ戦41試合に出場し5得点。名実ともに磐田の右SBに定着した。そして、今季からは駒野が背負った番号を受け継ぐことになった。「5番といえば駒野さん、というイメージが強いと思う。運動量など自分にしかない特長でアピールして、ジュビロの新しい5番という印象が自然に付くようにやっていきたい」と語る。
駒野自身は、昨季途中から控えに回る試合も増えたが、その能力はもちろん、衰えていない。新天地で捲土重来を期す思いも強く持っているはずだ。
今年の7月で35歳になる。豊富な運動量を求められるSBで常時ピッチに立つには厳しいかもしれない。だが、FC東京はACLを戦うため、年間試合数は多くなる。それだけに、豊富な経験を持ち、計算ができる背番号『50』の出番は必ず回ってくるだろう。(青木 務)
駒野 友一(こまの・ゆういち)
1981年7月25日生まれ、34歳。172cm/72kg。和歌山県生まれ。大野JFC→海南市立第三中→広島Yを経て00年トップ昇格。08年、磐田に移籍し、今季からFC東京に完全移籍。J1通算361試合出場18得点。J2通算87試合出場4得点。国際Aマッチ78試合1得点。