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クラブ、そしてサポーターにとっての悲願だった“新スタジアム”は、やはり極上のサッカー劇場だった。
一歩スタジアムの内部に足を踏み入れると、そこに待っているのは、南米や欧州のスタジアムに負けない臨場感を持つ圧倒的な空間である。
ピッチサイドの観客席の最前列から、ピッチまではわずか7m。指揮を執った長谷川監督が「非常に近いので後ろを見るのが怖かった」と会見で冗談めかしたほどの距離感が市立吹田サッカースタジアムの売りだ。
ゴール裏の最前列からピッチまでは10m。丹羽も「コーチングの声が前線まで届かないほど。良いスタジアムであるがゆえに声が届かないというのはあった」と振り返ったように、スタジアムに響き渡る声援は、90分間、圧倒的な音量となって場内を盛り上げた。
やや大上段に振りかぶると、吹田Sは日本のサッカー観戦の概念を変え得るポテンシャルを持っている。バックスタンド側のカテゴリー2で試合を見守った40代のある女性は、海外サッカーには親しんでいるもののJリーグは初観戦。「選手の顔も見えるし、最高に楽しかった。また来たい」と早くも新スタの魅力に引き込まれた様子。
誤解を招かないように補足すると、このスタジアムは万人を満足させる魅力を持っている。ピッチサイドの上位カテゴリーの席は、選手の息づかいや臨場感をリアルに感じさせてくれるが、ほかの席種にもそれぞれの魅力が備わっている。「プレーをしながらすごく雰囲気が良いと思っていた」(今野)。選手を後押しするサポーターの一体感をより求めるならば、ゴール裏が、そして値段が安い、上層階からの観戦ではピッチ全体を俯瞰的に眺めることが可能となる。
まさに“外れ席”なしのサッカー劇場。こけら落としでスタジアムを採点するならば文句なしの“10点満点”である。(下薗 昌記)