Photos: Atsushi Tokumaru
古巣への恩返しを。覚悟は決まった
クリスティアーノが望んでいたのは柏への残留だった。吉田達磨前監督が留任していたら、その願いは果たされていたはずだ。しかし監督交代によって、彼は次の道を探さざるを得なくなった。
昨季の彼は公式戦で21得点を決め、ACLでは山東魯能、広州恒大といった中国のクラブからゴールを奪った。昨年11月中旬に彼は「レイソルのような大きなチームにステップアップしていたい。いまは甲府で学んだことを生かせているが、戻ることは考えていない」と述べている。甲府からの期限付き移籍で柏に来ていた彼だが、15年の実績を考えれば甲府より規模の大きいクラブを探すのは当然だった。
「日本のクラブと話を詰めている。今週中に話ができると思う」。彼がそんな見とおしを語ったのは12月22日のこと。しかし3日後には「まだはっきりと決まっていない」という説明に変わっていた。大波のように揺れる移籍市場に彼も翻ろうされていた。そしてそのときクリスティアーノから初めて「もちろん甲府も(選択肢に)残っている」という言葉が出た。
移籍の“障害”は本人、家族が愛する日本に残りたいという思いだった。ブラジルや中韓からのオファーもあったというが、Jのビッグクラブという選択肢が消えた中で彼の気持ちは古巣に傾いた。
柏が天皇杯の準決勝まで勝ち上がっていたため、彼のオフは甲府のほかの選手より1カ月短くなった。しかし生真面目な彼は1月19日にチームへ合流している。そんな彼に応える「チームとしての信頼の証」(佐久間悟監督)が、副主将の座だった。クリスティアーノ本人も「選んでくれてうれしかった。2年前に自分を信じて獲ってくれたことへの恩返しをしたい」と感謝を口にする。
プロビンチアの運命を背負う覚悟はもうできている。昨季は甲府との3試合すべてで得点を決めた古巣キラーが、今季は甲府の頼もしい味方、そして柏の最も警戒するべき相手となった。(大島 和人)
クリスティアーノ(Cristiano)
1987年1月12日生まれ、29歳。183cm/83kg。ブラジル出身。トレド→ガロ・マリンガ→マルシリオ・ディアス→リオ・クラロ→メトロポリターノ→シャペコエンセ→メトロポリターノ→ジュベントゥージ(以上ブラジル)→ザルツブルク(オーストリア)→栃木→甲府→柏を経て今季甲府に復帰。J1通算66試合出場19得点。J2通算40試合出場16得点。