Photo: Atsushi Tokumaru
ブレない戦い方と強さ。紫の勇者、まず一冠
昨季のリーグ王者・広島が揺るぎない自分たちの戦い方を貫き、新シーズンの幕開けを飾った。
「大事なのは無失点で進めながら先制点を取ること」(青山)。昨季にチーム全体に浸透した戦い方が今季もチームの根幹となる。前半はポゼッション率でG大阪を上回りながらも、なかなかペナルティーエリア内に効果的に進入することはできなかったが、ボールを失うとすぐに切り替えて守備ブロックを形成。G大阪攻撃陣の良さも出させずにスコアレスで終えた。そして、後半にギアを上げてエースの佐藤が先制点を奪うと、途中出場の浅野がPKを決めて突き放し、ピーター・ウタカがCKから3点目を奪取して試合を決めた。2点をリードしながらカウンターから失点を許した点は反省材料となったが、森保監督が「我慢しながらの戦いだったが、焦れずにわれわれのペースに持っていくことをやり続けてくれた」と勝因を挙げたように、今季も広島はタフなメンタリティーを備え、試合を巧みに運べることを示した。
そして、多士済々のアタッカーがそろっていることも印象付けた。塩谷の速いクロスに抜群のタイミングで飛び込んでワンタッチゴールを決めたベテランストライカー・佐藤。自ら志願してPKを蹴り、思い切りよくネットを揺らした新10番・浅野。豪快なボレーシュートを叩き込んだ新助っ人・ウタカ。攻撃陣の起用法について問われた指揮官は「スタメンを決めることは簡単ではない」とさっそく贅沢な悩みを語っている。昨季にリーグ戦21得点を挙げて攻撃陣をけん引したドウグラスが移籍した不安を吹き飛ばす3得点は、チームが成長していく大きな弾みとなるだろう。
昨年のクラブW杯の雄姿がまだ記録に新しい日産スタジアムで、大きな期待をふくらませる16年のスタートとなったが、「まだ始まったばかり。一喜一憂することなくシーズンに入っていきたい」(千葉)。選手たちはいたって冷静に一歩を踏み出した。(寺田 弘幸)